2013 年に WEB マガジン「くらげバンチ」にて連載がスタートした「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」(新潮社/BUNCH COMICS)は、作者の宮川サトシが実際に体験した母との最期の日々から葬儀、そしてその後の生活の日々を母親への溢れる愛情をふんだんに散りばめて描き、Amazon レビューや SNS で話題沸騰したエッセイ漫画。バンド「SEKAI NO OWARI」のボーカル Fukaseが絶賛したツイートも話題となり、500 万 PV を記録した。
本漫画の映画化にあたり、監督・脚本を務めたのは、大森立嗣。第 35 回モスクワ国際映画祭審査員特別賞、第 56 回ブルーリボン賞監督賞を受賞した『さよなら渓谷』(13)をはじめ数多くの秀作を生み出し、今秋公開の樹木希林出演『日日是好日』(18)も手掛けるなど国内外で高い評価を得ている大森監督が初めて挑む“家族の実話”。人間の心の闇を描くことに定評のある監督が本作では、人を温かく包み込む慈愛に満ちた作品を作り上げる。
主演を務めるのは、演劇ユニット「TEAM NACS」での活動をはじめ、映画『銀魂』(17)『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(18)『愛しのアイリーン』(18)、ドラマ「下町ロケット」シリーズ、「正義のセ」(18)など数々の話題作に出演し、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じる安田顕。母親の驚くべき愛の深さに気づいていく主人公のサトシを、コミカルかつ心情豊かに熱演する。
息子思いでパワフルなサトシの母・明子を、『楢山節考』(83)『うなぎ』(97)などの今村昌平、黒澤明ら名監督が手掛けた作品に数多く出演している倍賞美津子が情感たっぷりに演じる。
さらに、サトシの恋人・真里役には松下奈緒。NHK 連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」(10)でヒロインを演じた松下が、サトシに寄り添い、時には叱咤する恋人役を温かい眼差しで演じている。また、振り切れた演技でサトシの兄・祐一をエネルギッシュに演じるのは数多くの映画、ドラマで活躍する村上淳。そして、妻を失い生きる気力を失いながらも新しい人生に踏み出すサトシの父・利明役を日本が誇る名優、石橋蓮司が演じるなど、母との残された時間を共有し、笑い、悩み、泣く“宮川一家”として日本映画界を代表する実力派俳優が集結した。
心優しいがゆえに頼りないところがある息子・サトシとパワフルな母・明子とのユーモラスな日常が変化するとき、2 人のすべての思い出が愛に彩られていく―。そして、母と別れて 1 年後、サトシのもとに届いた“スペシャルな贈り物”。すべての想像を超越する感動の実話に期待大だ。
キャスト&監督コメント
サトシ役:安田顕
原作を拝読し、淡々としながらも、その独自の目線にユーモアも感じつつ、嘘のない想いに涙しました。ゆるやかな人間賛歌の映画を生みだされた大森立嗣監督に、心より感謝申し上げます。
明子役:倍賞美津子
決して人数の多い組ではありませんでしたが、監督を中心に皆が必死になっている姿を見て私自身作品作りの楽しさを思い出させていただきました。スタッフ・キャストの思いのこもった作品になっておりますので、皆様にもご覧いただきたいです。
真里役:松下奈緒
初めて映画のタイトルを聞いた時とても衝撃的でした。
大切な人がいなくなった時、人は何を思い、何を考えるのだろうか。
いなくなってしまった事が悲しい、寂しい・・・けれども、それだけじゃない。
そんな思いを優しく包み込んでくれるような温かい作品です。
祐一役:村上淳
静かで暑い撮影だった。初の大森組。娯楽としてどうこの脚本を具現化するのか。それにはスタッフそして俳優部の粘りや技量はもちろんふと映画館に入って帰り道になんかあれかな。あれ。とてもいい映画を見たんじゃないかなと思っていただけるような作品に向かってのサムシングを全員で模索していたような現場でした。そのサムシングを皆様ぜひ劇場で感じとっていただきたい。劇場でお会いしましょう。
利明役:石橋蓮司
大森監督とは十数年ぶりの再会となりますが、監督はもうすでに巨匠感を漂わせる風情で、驚かされました。次回お会いした時は、監督『さん』と呼ばなければと思っております。
監督・脚本:大森立嗣
昨年の夏、岐阜の大垣で映画を作っていました。ちょっと怖いタイトルですが、おバカで、愛すべき家族の話です。安田顕さん、倍賞美津子さんをはじめ、出演者たちの笑顔や泣き顔を未だに思い出します。早く皆さまにお届けしたいです。
原作:宮川サトシ
漫画の中で僕は「人の死にはエネルギーがある」と描きました。それが今、監督や役者さん、スタッフさんたちによってまた増幅されようとしています。ここまで読んで頂けた読者の皆様にも感謝しかありません。「こんなどこにでもある話をやめといて~」と、お袋は恥ずかしがるだろうけど…大好きな映画になれて良かったねぇ笑。
母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。
2019年 2 月、全国ロードショー
配給:アスミック・エース
©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会