果たしてその内容はどのようなものなのか、現代に蘇った『ハロウィン』の魅力を紹介する。
当時ジョン・カーペンターが監督を務めた『ハロウィン』(78年)は、1978年のハロウィンの夜に感情不明の殺人鬼マイケル・マイヤーズが精神病棟から脱走したことから物語が始まる。
真っ白なハロウィンマスクと作業用のつなぎ姿で人々を次々と惨殺したマイケルは、超怪力で動機も感情も不明、更に不死身という不気味な殺人鬼であることから“ブギーマン”と名付けられた。
世界中の人々を恐怖に陥れたこの『ハロウィン』は『ハロウィンⅡ』(81年)『ハロウィンⅢ』(82年)といった続編も作られているが、その2作に関してはジョン・カーペンターは監督ではなく製作側にまわっている。他にロブ・ゾンビが監督した『ハロウィン』もあるが、設定こそ同じもののジョン・カーペンターの作品とは全くテイストの違うホラー映画になっていた(もちろんロブ版が好きという人もいる)。新しい『ハロウィン』を観ると、78年版の正式な続編ということがよくわかるのである。
STORY
2018年のハロウィン間近。ジャーナリストのアーロン(ジェファーソン・ホール)とデイナ(リアン・リース)は、イリノイ州ハドンフィールドで40年前のハロウィンに起きた凄惨な殺人事件の真相を追っていた。殺人鬼の名前はマイケル・マイヤーズ。二人はマイケルが収監されている精神病棟を訪ね、主治医のサルテイン(ハルク・ビルギナー)に話を聞くとマイケルは40年間、一言も話すことなく動機や感情は一切不明と説明する。厳重な警備のもと、マイケルに面会する許可を得て、事件で使われた真っ白なマスクで挑発してみるが具体的な反応は示さなかった。 精神病棟を後にした二人は、事件の被害者で唯一の生き残りローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)へのインタビューを試みる。彼女は、事件以来トラウマを抱え続け気難しい人間になっていた。ローリーは、マイケル・マイヤーズが人知を超えた恐怖の化身“ブギーマン”であることを主張し、それ以上話すことはないと冷たく二人をあしらうのだった。そしてハロウィン前夜、精神病棟から患者を輸送する車が横転する事故を起こし警察がすぐに駆けつけるが、マイケル・マイヤーズは忽然と姿を消していたのだった…。
『ハロウィン』と言えば一度聴いたら耳に残る例のテーマ曲が有名だが、なんと言っても新しい『ハロウィン』の音楽を手掛けているのが旧作と同じくジョン・カーペンターなのである。更に息子のコディ・カーペンターやコディの教え子であるダニエル・デイヴィスもジョンと共に音楽を担当している。最近は「Dead by Daylight」という人気ゲームにブギーマンと主人公のローリー・ストロードが登場していることから、映画は観てなくても例のテーマ曲は知っているという人も多いだろう。新しい『ハロウィン』でこのテーマ曲が流れる瞬間は鳥肌ものなので楽しみにして頂きたい。
1978年版の『ハロウィン』ファンを最も喜ばせたのが、以前の事件の被害者で唯一生き残ったローリーを、再びジェイミー・リー・カーティスが演じていることである。当時は高校生だったローリーだが、事件後はマイケルが再び目の前に現れることを想定し、いつ起きるか分からない非常事態に備えるという日々を40年も過ごしてきたのだ。強くなった彼女が再び街に解き放たれた“ブギーマン”と対峙するシーンは、思わず息を止めてしまうほどスリリングで最高にカッコイイのである。
78年版に比べると残忍さが増しているようにも思える今回の『ハロウィン』。古典的ホラーの良さを残しつつも、現代の若者をしっかりと怖がらせたいという製作側の思いが感じられて嬉しくなる。何も語らない不気味で残忍なブギーマンが、ハロウィンの夜に再び現れるという恐怖を是非劇場で体感して頂きたい。
(文/奥村百恵)
『ハロウィン』
4月12日(金)より全国公開
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ダニー・マクブライド、デヴィッド・ゴードン・グリーン
製作:ジェイソン・ブラム 音楽:ジョン・カーペンター、コーディ・カーペンター
出演:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、ニック・キャッスルほか
配給:パルコ
2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/原題:Halloween/106分/R-15
© 2018 UNIVERSAL STUDIOS