フランスを代表する演技派俳優が“なさけないニートおじさん”を裸一貫で演じる
本作はフランスで動員400万人突破の大ヒットを記録し、「フランスのアカデミー賞」と言われるセザール賞にて最多10部門にノミネートされた話題作。
スウェーデンで実際に起き、ドキュメンタリーも公開されるなど話題を呼んだ“実話”を基に、おじさんシンクロチームが巻き起こす、七転八倒の生きざま改革が描かれる。
主人公は2年前からうつ病を患い、会社を退職して引きこもりがちな生活を送っているベルトラン(マチュー・アマルリック)。子供たちからは軽蔑され、義姉夫婦からも嫌味を言われる日々をどうにかしたいと思っていたある日、地元の公営プールで「男子シンクロナイズド・スイミング※」のメンバー募集を目にする。
※2017年7月22日、国際水泳連盟が種目名を「シンクロナイズド・スイミング」から「アーティスティックスイミング」に変更すると発表。伴い、日本水泳連盟も2018年4月1日から種目名等を「アーティスティックスイミング」に一斉に変更した。
途端に惹きつけられたベルトランはチーム入りを決意するが、そのメンバーは皆、家庭・仕事・将来になにかしらの不安を抱え、ミッドライフ・クライシス真っただ中のおじさん集団だった!シンクロ選手のコーチ、デルフィーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)のもと、あらゆるトラブルに見舞われながらもトレーニングに励むおじさんたち。そして無謀にも、世界選手権で金メダルを目指すことになるのだが・・・!?
このたび解禁されたのは、突き出た太鼓腹と体毛たっぷりの自分自身の姿なんてお構いなし!その演技の様子を「転がる芋」と自分の娘ほどのコーチに罵倒されても、必死でシンクロ練習に励む健気なおじさんたちのシーン映像を切り取ったもの。
上達するためには「空気と水を切り裂かなきゃ」とコーチから指導されるもピンとこないおじさんたち。そこで提案された練習法は「順番に一言、叫んでから飛び込む」こと!?
「バカげてる」と文句を言いつつも、プールの飛び込み台に1列に並んでその練習法を試してみる素直な彼ら。「バカげてる」「ローン」「抗うつ剤」それぞれいまの自分の気持ちの大きな割合を占めるワードを叫びなら次々とプールに飛び込むが、「にゃんにゃんペロペロ」と訳のわからない単語を叫び出すおじさんもいる始末で全くのカオス状態。
その後、水中での動きを揃える(シンクロ)練習を始めるが、そう簡単にうまく行くはずもなく「シンクロしてない!」とまた怒られるおじさんたちであった。上達への希望を信じながら、水中で必死に手足をばたつかせてシンクロ練習に励むおじさんたちにただただ感動を覚えるシーンとなっている。
そんな本作の魅力の一つが劇中登場する様々なタイプの“おじさんキャラクター”たち。引きこもりニートおじさん・ベルトランをはじめ、不満だらけの短気おじさん・ロラン(ギョーム・カネ)、会社は倒産寸前、現実に向き合えない中二病おじさん・マルキュス(ブノワ・ポールヴールド)、ミュージシャンを目指し続けるも娘から「パパには才能が無い」と一刀両断、だけどめげない夢追いおじさんシモン(ジャン=ユーグ・アングラード)、いつも一人ボッチのピュアな童貞おじさん・ティエリー(フィリップ・カトリーヌ)など、まるでダメなおじさんたちの見本市だけど、思わず前のめりに応援したくなる愛らしさで溢れている。
監督はフランス公開1週目で興行収入25億円を突破した大ヒット作『セラヴィ』(2017)にも俳優として出演、多彩な才能を持つジル・ルルーシュ。
主演を務めるのはフランスを代表する演技派俳優、マチュー・アマルリック。『潜水服は蝶の夢を見る』(2007)でアカデミー賞にノミネート、2017年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門ポエティックストーリー部門を受賞、彼の元パートナーであり、パリが生んだ20世紀最高の歌姫『バルバラ〜セーヌの黒いバラ』では監督・脚本・出演を務めるなど才能あふれる彼が、劇中、実際とは真逆のうつ病を患い引きこもりがちの“なさけないニートおじさん”を裸一貫で演じる姿は必見だ。
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シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢
2019年7月12日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他ロードショー
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions