【PROFILE】杉山すぴ豊 SUGIYAMA SUPI YUTAKA
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
まずは状況を整理!MCUは今後こうなる!
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のこれからを予想するためには、まず状況を整理しておかなければなりません。
1.MCUのフェイズ3は「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」で終了します。
2.マーベルの親会社であるディズニーは、現段階でタイトルを伏せながらも、2020年から2022年にかけて8本のマーベル映画を公開するとアナウンスしました。
3.フェイズ4のラインナップはこの夏発表される模様です。
4.ディズニーの20世紀フォックス買収に伴い、今後のMCUにX-MEN、ファンタスティック・フォーのキャラクターが登場する可能性が出てきました。
5.ディズニーの新しい配信サービス〈ディズニー・プラス〉でMCUキャラクターを主人公に(しかも映画版のキャストが続投!)したドラマ・シリーズが配信されます。
これらを頭に入れつつ、関係者のコメントやネットで噂されていることを拾いながら“MCUは今後こうなる!”を考えてみます。
ブラック・ウィドウの過去の物語が描かれる!?
現段階で製作がアナウンスされているのが、「ブラック・ウィドウ」のソロ映画、新キャラクターたちが登場の「ジ・エターナルズ」、カンフー・ヒーロー「シャン・チー」。続編ものでは「ドクター・ストレンジ」第2弾、「ブラックパンサー」第2弾、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」第3弾といったところです。)
「ブラック・ウィドウ」で注目すべきは、「エンドゲーム」での彼女の運命を考えた時に、本作がブラック・ウィドウの過去の活躍を描く前日譚的な内容か、それとも別次元(パラレル・ワールド)の話なのか?前者の可能性が高いと思われますが、だとすれば「エンドゲーム」でも言及されていた、彼女とホークアイが出会うきっかけとなった“ブダペストの事件”、つまりアベンジャーズ参加前のエピソードが描かれるのではないでしょうか。
彼女はキャプテン・アメリカの映画でも重要な役割を演じているので、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」前後の活躍を描く可能性もありますね。
さまざまな作品とリンクしそうな「ジ・エターナルズ」
アンジェリーナ・ジョリーの出演も噂されている新作「ジ・エターナルズ」。コミックでは、宇宙の超存在である“セレスティアルズ”が作り出したのが“エターナルズ”と呼ばれる超人たちです。実はサノスも“エターナルズ”なんですよ。
さらに言えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のスター・ロードの父エゴは“セレスティアルズ”の一人でしたから、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」第3弾とリンクしていく可能性もあります。そのうえ、X-MENのようなミュータントが生まれたのも“セレスティアルズ”によるものという設定もあるので、X-MENをMCUに登場させるための布石になるのかもしれません。
ちょっとビックリだったのが「シャン・チー」。マーベルがブルース・リーに触発され70年代にデビューさせたアジア系の格闘ヒーローです。同じ格闘ヒーロー系なら、ネットフリックスでドラマになった“アイアン・フィスト”の映画版がいいと思っていたのですが、「ブラックパンサー」が黒人層の動員に寄与し大ヒットとなったので、どうやらアジア系アメリカ人の獲得を狙ってでシャン・チーの映画化に踏み切ったと思われます。