ブラッド・ピット
“レオとの共演はとても楽しかった。またやりたいね”
ブラッド・ピットが演じるクリフ・ブースは、リックのスタントマン。彼らは仕事のパートナーとして、そして友人同士として深い絆で結ばれている。キャリアの凋落に苦しむリックを、クリフは陰から支え力づけるのだ。
『この時代、役者とスタントマンがキャリアのほとんどを一緒に過ごすことはよくあることだったんだ。たとえば「大脱走」で素晴らしいチームワークを見せたスティーヴ・マックイーンとバド・エーキンズ、あるいはバート・レイノルズとハル・ニーダム。実はバートとは会って話を聞くことができたんだ。素晴らしい経験だったよ。今のように一時的な付き合いじゃなくて、役者とスタントマンの間にはもっと強い絆があったんだ。リックとクリフもお互いに頼り合っている。仕事がなくて辛い時、友人とかパートナーがいるというのはとても大事なことだからね』
リックとクリフの物事の捉え方はどう違うのか、ブラピはこのように分析してくれた。
『問題は、周りの環境や壁や悩みをどう受け入れるかだと思う。リックという人物は、時々笑ってしまうくらいそれらに振り回され、物足りなさを感じ、人生は厳しいと思ってしまう。レオはそうして人間が崩壊する姿を、今まで見たことがないくらい素晴らしい演技で表現してみせたよ。一方クリフはその段階を通り越し、身の程を知り平然とした心持ちで、すべてはなるようになると分かっている。そこが二人の違いだと思うな。だから僕にとってこの映画は、〝受け入れること〞というのがテーマなんだ』
ディカプリオとの共演について。
『レオとの共演は、とても気楽で楽しかったよ。一緒に大笑いもした。相手が一流の役者だと分かっていると、すごく安心感があるんだ。僕らは同じ時期にキャリアをスタートさせ、一緒に笑い合える共通の体験を多く持っている。ぜひまた共演したいよ』
レオナルド・ディカプリオ
“この映画は監督のハリウッドへのラブレターだ”
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でレオナルド・ディカプリオが演じるリック・ダルトンは、かつてのTV活劇の人気スター。しかし今や時代に取り残され、自分ではスター気取りでいるがもはや誰もそんな扱いをしてはくれない。そして彼自身、薄々それに気づきながら昔日の栄光から離れられない。
『リックは50年代の副産物なんだ。オールバック・ヒーローさ。この役は、いろんな意味で僕自身と重なる部分があると思ったよ。僕もこの業界で育ってきたからね。時代が変わっていく中、彼はその波に乗り遅れてしまっている。この映画は僕にとって、いま自分がここにいられることについて、深い感謝の気持ちを改めて持たせてくれた。これまで順調だったリックはいきなり困難と戦うことになり、自信を保つことや仕事をつなぐことに必死なんだ。僕も業界の友人が多いから彼の気持ちはよくわかるし、自分が恵まれていることも理解している。だから、それに対しては感謝の気持ちしかないよ』
クェンティン・タランティーノ監督とはかつて「ジャンゴ繋がれざる者」で組んだディカプリオ。
『映画だけでなく、音楽やテレビも含めこれだけの知識を持った人物は世界でも数少ないと思う。まるでコンピューターのデータベースにアクセスしているみたいだ。この映画は、そんなクェンティンのハリウッドに対するラブレター、あるいは敬愛する人たちへの感謝を表わしたものだと思う。それは彼にしてみたら原点回帰なのかもしれないね』
ブラッド・ピットとの共演について。
『ブラッドと一緒に仕事をするのは楽だったし安心感もあった。僕らは同じ時代に育ち、駆け出しの時期も一緒だからね。それに彼はプロフェッショナルな俳優だから、アドリブのシーンを要求されても完璧にこなす。僕らのいる映画業界を舞台にした映画の中で、その絆を表わす素晴らしい共演を果たすことができていたなら嬉しいね』
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
2019年8月30日(金)公開
配給:ソニー・ピクチャーズ