誕生したのは1960年代。70年代にはコミック化やドラマ化など日本とのつながりも
スパイダーマンが誕生したのは、1962年、「アメイジング・ファンタジー」というコミック誌の「#15」でのこと。スタン・リーがストーリーを考え、スティーヴ・ディッコが作画を担当した。
実はこの雑誌、すでに廃刊が決まっていたため好き勝手やっていいことになっていて、スタンはそれまで会社に反対されていた10代のヒーローの物語を作り上げたのだった。それが予想外に受けたことにより、翌1963年の3月から「アメイジング・スパイダーマン」誌が刊行された。
最初に映像化されたのは1967年スタートのアニメ版。今でも予告編のBGMなどで使われる「スパイダーマンのテーマ」はここで誕生したもの。
1970年には日本の『月刊別冊少年マガジン』誌上で池上遼一の作画による翻案の連載がスタート。主人公は小森ユウという日本の高校生。初期はアメコミに詳しい映画評論家の小野耕世がストーリー構成に協力していて、エレクトロ、リザード、ミステリオといったヴィランも日本流にアレンジされて登場したが、後半はSF作家の平井和正が原作を執筆。当時の世相を反映した暗いストーリーが展開した。
1977年にはアメリカでTVシリーズがスタート。ニコラス・ハモンドがピーター・パーカーに扮している。パイロット版は日本では1978年に劇場公開された。
1978年には日本でもTVドラマ化。これは東映とマーベルの提携によって実現したもので、主人公はバイクレーサーの山城拓也。スパイダー星人のガリアに力を与えられた設定で、敵は宇宙人の鉄十字団。宇宙戦艦マーベラーから変形する巨大ロボット、レオパルドンに乗って闘う。CGのなかった時代のアクションはスタンも絶賛。今ではマルチバースのひとつとして正式に認められている。
1990年代にはジェームズ・キャメロンが映画化を企画していた時期も
アメリカではアニメも1981、1994、1999、2003、2008年と何度も作られているが、重要なのは2012年の「アルティメット・スパイダーマン」。ここにはマイルス・モラレスをはじめとする何人もの異世界のスパイダーマンが登場する「スパイダーバース」の原点。アニメ版の最新作は2017年の「マーベルスパイダーマン」だ。
実写版映画の権利は、キャノン・フィルムを経てカロルコに移り、1990年代にはジェームズ・キャメロンが映画化の構想を練っていたが実現せず。カロルコの倒産もあってソニー・ピクチャーズが権利を獲得。サム・ライミ監督によって2002年にトビー・マグワイアを主役に起用した「スパイダーマン」が公開されて大ヒットしたことで、アメコミ映画が続々作られることになる。ライミは「スパイダーマン2」(2004)「スパイダーマン3」(2007)も続けて監督。
MCUの仲間に入ると同時に全く新しい形でアニメ化されオスカー受賞の快挙
2012年にはアンドリュー・ガーフィールド主演、マーク・ウェブ監督によるリブート版「アメイジング・スパイダーマン」が、2014年には続編「アメイジング・スパイダーマン2」が公開。こちらは4部作になる構想もあったが、結局続きが作られることはなく、ディズニー/マーベルのMCU世界の中にソニーのスパイダーマンを組み込むということが決まったことにより、トム・ホランドの新たなピーターが生まれた。
彼はまず「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)にゲスト出演する形で初登場。主演作「スパイダーマン:ホームカミング」(2017)を経て、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018)「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)に参戦、再び主演作「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019)に出演と、最多の5作品に出ている。
そして2018年のアニメ映画「スパイダーマン:スパイダーバース」はアカデミー賞の長編アニメ部門でオスカーに輝くとともに、ゴールデングローブ賞も受賞。アニメでもスパイダーマンは頂点に立ったのだった。
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