一人の高校生がヒーローとして目覚める成長物語が観客の心も熱くする
ブルックリンに住む高校生マイルス・モラレスは特殊なクモに噛まれたことでスパイダーマンと同じ能力を手にするが、それを上手く制御できないうちに、先輩スパイダーマンであるピーター・パーカーの死を目撃してしまう。
NY中が悲しみに包まれる中、途方にくれたマイルスの前に、異次元から中年になったピーター・B・パーカーが現れる。キングピンの起こした実験の影響で、次元の壁が崩れ、さまざまな世界からスパイディたちがマイルスの世界に集まっていたのだ。だが、このままでは彼らは弱って死んでしまう。マイルスは彼らを元の世界に帰すべく、闘いを決意する。
マイルスもまた〝望まなかったのにヒーローの力を手に入れてしまった〞存在。そんな彼がヒーローとしての自覚を持ち、困難に立ち向かっていく姿を描いた王道の成長物語だ。孤独で未熟だった少年が、正義を守る心に目覚め、仲間との絆を通して一人前になっていく。ヒーロー物語に不可欠な要素が詰め込まれ、観客を熱い気持ちにさせてくれる。
作品の中にはキャラクターからスタッフまで日本との関わりが!
そこに注ぎ込まれた技術がまた驚異的。基本は3DCGアニメーションなのだが、〝観客がコミックの中を歩いている〞雰囲気を出すために、仕上げはすべて手書きで行なわれている。また、それぞれのスパイダーマンのキャラクターに合わせて演出が変えられており、マイルスやピーター・Bはアメコミタッチで、実写版の名場面も再現。
スパイダー・グウェンは彼女が主人公のコミックの画風に近く、スパイダーマン・ノワールはモノクロでハードボイルドな部分を強調。スパイダー・ハムはあえてカートゥーンの要素を強くしている。ロボットのSP//drを操る少女ペニー・パーカーは日系という設定で、彼女の動きはジャパニメーション(日本製のアニメ)の動きを取り入れているのだ。
しかし、それで印象がバラバラになるかと言えばそうではない。アニメーションならではのダイナミックな構図とスピーディーな演出で描かれたアクションは、観客を一瞬たりとも退屈させることなく物語の中に引き込んでいく。まさに現代アニメーションの最先端がここにある。日本人の若杉遼がCGアニメーターとして参加していることにも注目。
なお、エピローグの部分で登場する未来のスパイダーマン=スパイダーマン2099ことミゲル・オハラが飛び込んだ世界「アース67」とは、1967年のアニメ版「スパイダーマン」の中。いくつもの世界観が共存できるのも、「スパイダーマン」の魅力なのだ。
\2019年8月7日(水)発売/
「スパイダーマン:スパイダーバース」プレミアム・エディション
ソニー・ピクチャーズ
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