タランティーノ監督が『この映画を見て映画監督になろうと思った』と告白
今から50年前の1969年、約25分カットされた短縮版が公開されて以来、日本上映が叶わなかった巨匠セルジオ・レオーネの超大作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(初公開時邦題『ウエスタン』)。そのオリジナル版が、レオーネ生誕90年、没後30年にあたる今年、いよいよ公開される。
本作は、『荒野の用心棒』(1964)、『夕陽のガンマン』(1965)、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)で全世界にマカロニ・ウエスタン ブームを巻き起こした巨匠セルジオ・レオーネが、名無しの賞金稼ぎを主人公とした前【ドル3部作】(※ウィキペディア他の【ドル箱3部作】という表記は誤り)とは大きく方向性を変え、西部開拓史を題材に自らの作家性を前面に打ち出した野心作。
物語の舞台は、大陸横断鉄道敷設によって新たな文明の波が押し寄せていた西部開拓期。ニューオーリンズから西部に嫁いできた元・高級娼婦のジルは、何者かに家族全員を殺され、広大な荒地の相続人となった。莫大な価値を秘めたその土地の利権をめぐり、ジルは、鉄道会社に雇われた殺し屋、家族殺しの容疑者である強盗団のボス、そしてハーモニカを奏でる正体不明のガンマンらの熾烈な争いに巻き込まれていく―。
世界公開から50年をへた今年2019年5月、マカロニ・ウエスタンとセルジオ・レオーネ研究の世界的権威で、ロンドン王立美術大学の学長であり批評家のサー・クリストファー・フレイリングは、それまでの数十年間に及ぶ研究の総決算として「ONCE UPON A TIME IN THE WEST:SHOOTING A MASTERPIECE」という縦29.5 cm横25.4cm厚さ3.8cmのハードカバー、335ページの大著を発表。
生前のレオーネ・インタビューをはじめ、スタッフ、キャストの証言、カルロ・シーミ美術監督の手によるセット・デザインや衣装デザイン画、撮影日誌など『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』のすべてを網羅し尽した内容となっている。
そして、この本の序文を記したのが、日本でも間もなく公開される最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で本作のタイトルを引用したクエンティン・タランティーノ監督。かねてよりマカロニ・ウエスタンというジャンルの素晴らしさとレオーネ作品への愛と敬意を語っていたタランティーノは、その12ページにも及ぶ長大な序文で“セルジオ・レオーネこそイタリア映画界で最も偉大な映画監督であり、フィルム・スタイリストでありストーリーテラーである”と語り、“この映画(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』)を見て映画監督になろうと思った”と告白している。
今回のオリジナル版日本初公開にあたり、新たな予告篇が完成。50年前に作られた2分40秒のアメリカ版予告篇を再編集し、1分40秒に短縮。原版にあったナレーション、セリフ、効果音を全てカットし、代わりにエンニオ・モリコーネ作曲・指揮による壮麗なテーマ曲をたっぷり聴かせる構成。新たに「フィルムコメント」誌の作品評、そして前記タランティーノ監督のコメントが付け加えられた。
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト
2019年9月27日(金) より 丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
配給:アーク・フィルムズ boid インターフィルム
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