「事前に映画の時代背景を知っていれば絶対何かを得ることができるよ」
クェンティン・タランティーノ監督
クェンティン・タランティーノにとって9本目の監督作になる「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、彼自身にとって『あらゆる意味、あらゆる形で思い出の映画』だという。
『僕は69年当時ロサンジェルス郡のアルハンブラに住んでいた。その頃どんな番組がTVでやっていたかもよく覚えている。古い雑誌などを見ては脳みそを絞って記憶を呼び覚まし、当時の様子を思い出すのも楽しみの一つだった。僕はビルボードを見て読み方を覚えたんだ。四歳くらいの時にはビルボードに書かれていることを読み上げたんだよ。これは僕にとっての「ROMA/ローマ」のような映画なんだ』
──この映画を思い付いたきっかけは?
『9年前くらいに撮影していた僕の映画に出演した年配のスターと彼のスタントダブルの関係を見ていて思いついたんだ。そのスタントマンは明らかに僕のためでなく、長年組んでいたスターのために仕事をしていた。「いつかハリウッドに関する映画を作るとしたら、この二人のような関係の男たちの話を盛り込もう」と考えていたんだ』
──マーゴット・ロビーが演じるシャロン・テートは、実在の人物というだけでなくあの時代のメタファーのように見えますね。
『そうだね。一つには彼女はリックが属しているのとは違う、新しいヒッピーなハリウッドのメタファーになっている。シャロンについてはかなりリサーチしたよ。彼女に関するどの資料を読んでも、〝天使〞のように書かれていた。だから彼女は地上に舞い降りた天使で、ハリウッドという街、この映画のスピリットを見守っていてくれるんだ』
──この映画を見る前に当時の映画の歴史を知っておく必要がありますか?
『必ずしもそうではないけど、そうしたい人は、知っておけば絶対に何かしら得ることができるはずだ。充分に報われるよ。でも映画を見るだけでも同じくらいインスパイアされるし、もっと知りたくなるんじゃないかな』
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
2019年8月30日(金)公開
原題:かつてハリウッドで/アメリカ/2019年/2時間41分/ソニー・ピクチャーズ配給
監督:クェンティン・タランティーノ/出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、アル・パチーノ、エミール・ハーシュ、カート・ラッセル、ダコタ・ファニング