映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」とは
1969年のハリウッドを舞台に、実在の人物とフィクションの人物が入り混じり、当時のカルチャーを盛り込みながら、「ヘイトフル・エイト」のクェンティン・タランティーノ監督が、映画界へのリスペクトと郷愁を交えて作り上げたドラマ。
主演にはレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという二大スターを迎え、落ち目の映画スターとそのスタントマンを演じる。他にもマーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ、ダコタ・ファニングといった若手から、アル・パチーノ、ブルース・ダーン、カート・ラッセルといったベテランまで、様々な世代の個性派俳優たちがずらりと登場。タランティーノは脚本と共同製作にも当り、撮影はロバート・リチャードソンが担当。
1969年に実際に起きた、教祖チャールズ・マンソン率いるカルト集団による、女優シャロン・テート殺害事件をテーマの一つとして扱っており、スティーヴ・マックィーンやブルース・リーといったこのころ実在したカリスマ・スターもストーリーに絡んでくる。
『シャロン・テート殺害事件』とは?
映画のベースになっているのが、1969年8月に実際に起きた女優シャロン・テートの殺害事件。
高級住宅地ベル・エアのロマン・ポランスキー監督の豪邸で、彼がロンドンで撮影中に、妊娠8か月だった妻で女優のシャロンが、彼女の元婚約者で有名ヘア・デザイナーのジェイ・セブリング、コーヒー王の娘アビゲール・フォルジャー、写真家のボイチェク・フリコースキーら友人と共に何者かに殺害されているという匿名通報がロサンジェルス警察に入った。警察が邸に駆け付けると、そこにはナイフで背中と胸を刺されたシャロンとセブリングがロープで首を縛られ、天井から吊り下げられていたという。
また翌日にはスーパーマーケット経営者夫妻が似たような手口で殺害され、この猟奇的な殺人事件は世界中を震撼させ、しばらく真犯人は謎のままだったが、年末近くなって判明した真犯人は、狂信的なカルト集団の教祖チャールズ・マンソンとその信望者の4人の若者だった。マンソンには1971年死刑判決が下った(後に終身刑に)が結局執行されず、何度も仮釈放申請したが、2017年に83歳で釈放されないまま死去した。