『アイ、ロボット』などで知られるアレックス・プロヤス監督のデビュー作にして最高傑作と称される『スピリッツ・オブ・ジ・エア』が2019年2月8日(土)より全国順次公開となることが決定した。

「障害物と戦いながらも、夢を実現させようとする者たちの物語」

『クロウ/飛翔伝説』(94)、『アイ、ロボット』(04)など近未来SF映画でその名の知られるエジプト出身の監督、アレックス・プロヤス。そのデビュー作である本作は、初公開時オーストラリア・アカデミー賞の最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされるなど本国では高い評価を得るも、プロヤスが無名だったからか、オーストラリア以外ではほとんど公開されなかった。

だが海外で本作を評価したのはなんと日本だった。1990年開催の第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映され、審査員特別賞を受賞。この際の審査員を務めたのは、ジョン・ヴォイト、アンジェリーナ・ジョリー、ジョゼ・ジョバンニ監督、相米慎二監督、根津甚八、竹中直人という錚々たる映画人たちだった。

翌年91年には正式に劇場公開され、当時の日本人映画ファンの多くが若きプロヤスの才能に驚嘆した。その後VHSは発売されたものの、DVDやブルーレイ化はされず、長年に渡って観る事が難しい<失われた作品>として存在感を高めてきた。

このたびの公開は約30年ぶりであり、16mm撮影ながら2Kスキャンによるデジタル・リマスターでの鮮烈な映像で甦る。なおこの日本再公開をプロヤス監督本人とプロデューサーが最も喜んでおり、さらには今回の日本版ポスタービジュアルを大絶賛、「デザイナーに素晴らしい!と伝えてほしい」「ポスターを早く欲しい」という前のめりな連絡が来ているという。

本作の登場人物はたった3人で、「空を飛ぶこと」への憧れを持つ男を軸に、《絶望》と《希望》、《夢》と《現実》の寓話を幻想的に描き出した、驚くほど詩的な一篇である。

赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。そこに住む足の不自由な兄フェリックスはこの場所ではないどこかへ飛び立とうと、飛行機づくりに明け暮れている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは死んだ父の墓を守ることに執着している。茫洋であるのに隔離された二人だけの世界に、スミスと名乗る奇妙な逃亡者が現れるが・・・。

今回、同時に解禁となったポスタービジュアルでは、恐ろしいほどに美しいオープニングシーンの一部が切り取られている。砂漠の真ん中でベティが真っ赤なドレスを纏って弦楽器を奏でるカットは、圧倒的な空虚さえ感じられる。「夢の着地点」とは一体何なのだろうか。

アレックス・プロヤスは本作の制作に4年半の月日を費やし、壮大なロマンの物語を完成させた。公開当時には以下のようなコメントを残している。

「『スピリッツ・オブ・ジ・エア』は、目の前に立ちはだかる、時には馬鹿げているとさえ思えるような障害物と戦いながらも、夢を実現させようとする者たちの物語である。この映画に登場する人々は、エキセントリックで弱点も見せる。彼らのシチュエーションはしばしば滑稽であるが、それは実際に我々が経験している日常ほどではない。これは、ある意味での犠牲と失敗についての映画だ。それはただ、笑うしかすべのないものである」

スピリッツ・オブ・ジ・エア
2019年2月8日(土)より新宿シネマカリテ他全国順次公開
配給:アンプラグド   
©1988 COMPANY BIZARRE PTY LTD.

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