世界中の注目を集めた「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」だけでなく、Bluray&DVD発売中のSF超大作「アド・アストラ」への出演でも活躍したブラッド・ピット。キャリア初の宇宙飛行士役に挑んだ彼に話を聞いた。(文・成田陽子/デジタル編集・スクリーン編集部)

ブラッド・ピット
50代半ばを迎えた今も第一線で活躍を続ける、ハリウッドを代表する不滅の美男子俳優。2019年9月には「アド・アストラ」でPR来日したことも記憶に新しい。レオナルド・ディカプリオとの夢の共演が話題を呼んだ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」ではゴールデングローブ賞助演男優賞に輝き、初のオスカー演技賞戴冠の期待も高まる。話題作を連発する製作会社プランBを率いる敏腕プロデューサーの顔も持つ。

宇宙への旅には何かしらロマンティックなムードが付きまとうね

2019年のブラッド・ピットの活躍は目覚ましかった。役者として「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「アド・アストラ」の二本に出演、さらには映画製作会社“プランB”のプロデューサーとして「バイス」「ビール・ストリートの恋人たち」「ビューティフル・ボーイ」「キング」の四本を世に送り出した。いずれの作品も世界中の賞レースを席巻したことが、ブラッド・ピットが役者としてだけでなく“目利き”も優れていることの証明だろう。

「ワンハリ」の熱演でゴールデングローブ賞の助演男優賞に輝いた彼は、来るアカデミー賞助演男優賞の本命候補といわれているが、もう一本“ブラッド・ピット史上最高の演技”と高い評価を受けたのが、SF超大作「アド・アストラ」(Bluray&DVD発売中)だ。太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親を捜しに旅立つ宇宙飛行士の冒険を描く衝撃のスペース・アクション超大作。キャリア初の宇宙飛行士役に挑んだ彼に話を聞いた。

──子どもの頃はどんな冒険に憧れていましたか?

『少年の頃、エヴェレストの頂上を制覇したヒラリー卿、モハメド・アリ、宇宙への冒険などなどに心を躍らせたが、何と言ってもイーブル・クニーブル(映画にもなった有名なバイク・スタントマン)が6000万ドル稼いで、6100万ドル使ってしまったという事実に凄く仰天したものだった。

宇宙への旅には何かしらロマンティックなムードが付きまとうが、「エイリアン」を初めてみた時はそのユニークなグロテスクさに動揺したね。親父が何故か僕を一人で行かせてくれたんだ。まだ17歳じゃなかったけれど(※「エイリアン」はR指定作品)。あの怪物のイメージは長く未知の宇宙の象徴だったと言えるかな』

──今回が初の宇宙飛行士役でしたね。

『僕はSF映画に殆ど出たことがない。敢えて挙げるとすれば「モンキーズ」だろうね。「アド・アストラ」では独白が多いが僕も普段の生活で特に車の中で独り言をしゃべっている。殆どの場合、自分を責めている批判的な言葉や心配事ばかりで、道路の渋滞とかがあると自分の心身のバランスのバロメーターが分析できそうだ』

──トミー・リー・ジョーンズとの共演はいかがでしたか?

『父親役のトミー・リー・ジョーンズの知的レベルの高さには驚きっぱなしだったね。なんというか僕らの頭の中身とは違うプログラムで考えているフシがある。初めて会った時は彼の人間としての威厳と重さに感銘を受けた。

ある時、ジェームズ・グレイ監督がどうもニュアンスがそぐわないと彼のセリフを直前に変更したのだが、しばらく書いたものに目を通したあと、完全なまでに記憶して、役に入ってセリフを話すというスピード技にも驚いたね。どこかアンソニー・ホプキンスに通じる自負と謙虚さが入り交じる偉人の域に達していると思う』

──本物同然の宇宙服を着て演技するのは大変だったそうですね。

『宇宙服は着心地の悪いものだった。ちょうど子供の頃、雪の日になるとセーターなどの上にジャンパースーツなど着せられて動きにくい感じだったのを思い出した。ほとんどビニールの袋をかぶって着るようなのだから。時々脱いで体の呼吸をしないと苦しくなってね。その上にケーブルやらハーネスが付いていて動きが非常に制限されるんだ。クリスチャン・ベールが「バイス」で6時間に及ぶというチェイニー副大統領のメークをされたときみたいにがんじがらめに縛られた気分だったね』長年の友人、

ジェームズ・グレイ監督との3年半越しの企画が完成して、ひときわ嬉しそうなブラッド・ピットだった。

画像2: 【インタビュー】ブラッド・ピットが挑んだキャリア初の役作り

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2枚組ブルーレイ&DVD 発売中/¥3,990+税 フォックス・HE
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