『鉱 ARAGANE』が鮮烈な印象を残した小田香監督の最新作『セノーテ』が2020年6月に劇場公開されることが決定した。本作の公開に合わせて小田監督の過去作品・短編作品の上映も予定されている。
ユカタン半島北部に点在する、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉が舞台
『サタンタンゴ』『ニーチェの馬』で知られるタル・ベーラ監督が後進の育成のために設立した映画学校【film.factory】で3年間学び、タル・ベーラ監督監修のもと製作した『鉱 ARAGANE』で大きな注目を浴びた小田香。
その最新作は、メキシコ、ユカタン半島北部に点在する、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉が舞台。かつてマヤ文明の時代、セノーテは唯一の水源であり雨乞いの儀式のために生け贄が捧げられた場所でもあった。現在もマヤにルーツを持つ人々がこの泉の近辺に暮らしている。
現世と黄泉の世界を結ぶと信じられていたセノーテをめぐって交錯する、人々の過去と現在の記憶。そこに現地の人たちの語りで流れる「精霊の声」、「マヤ演劇のセリフテキスト」など、マヤの人たちにより伝えられてきた言葉の数々。カメラは水中と地上を浮遊し、光と闇の魅惑の映像に遠い記憶がこだますする。
小田監督は、いまもこの地に住む人々にも取材し、集団的記憶や原風景を映像として立ち上げようと試みた。小田監督はセノーテの水中撮影のため、自らダイビングを学んで8mmフィルムカメラ、iphoneなどを駆使し、これまで誰も見たことのない世界を写し取った。
前作『鉱 ARAGANE』で、ボスニア・ヘルツェゴビナのブレザ炭鉱に赴き、坑夫たちを密着取材して、暗闇の中で行われる過酷な労働とその環境を、静謐な映像で記録し注目を集めた小田香待望の新作がいま、姿を現す。
セノーテ
2020年6月、新宿K‘s cinemaにてロードショー、全国順次公開
配給:スリーピン
©Oda Kaori