シスターフッド映画が女性の地位向上に一役買うかも
先も述べました#MeToo運動のようなものがなかったら、この作品群の文脈は無視されていたでしょう。とはいえ、映画は企画/製作から完成までに長い時間がかかるもの。だから、#MeTooがあったから多くなった!というのは間違いです。
世の中において、女性の立ち位置というものが変わってきたのは分かっていたものの、あの事件によって怒りが炸裂したことを考えると、ステレオタイプな女性像が「よきもの」として扱われてきたのを黙殺してきたのがまずかったわけです。
要は、#MeToo運動が起きる前から世界の女性の不満はピークに達しており、それに気づいて!っていわんばかりにこれらの作品が作られ始めたのでしょう。
2大アメコミ作品もシスターフッド映画
「ブラック・ウィドウ」(2020年5月1日公開)は主人公ブラック・ウィドウの妹や家族も登場
©Marvel Studios 2020
女性監督パティー・ジェンキンズ監督が再びメガホンを取る 「ワンダーウーマン 1984」(6月公開)
© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics
これ、とてもいい流れです。というのも、ウーマンリブ活動やフェミニズムの運動というのは、〜年代から延々と続いており、それが実を結んだこともあれば結んでいないことも多々という状況。よくそれと比較されるのはLGBTQを代表するセクシュアル・マイノリティの人権向上活動なんですね。なんせ始まったのが同時期だったので。
でも、LGBTQの人権向上に関しては、2000年代に一気に駒を進めることができました。が、女性の人権はどうか、というとマジ微妙。特に女性の社会進出に関しては、男性優位社会に阻まれており、それは今も続いていること。
2020年2月21日(金)公開
「スキャンダル」
今のハリウッドを背負う三大女優、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの豪華共演が実 現。2016年に全米最大のTV局FOXニュースで起きた衝撃的なセクハラ・スキャンダルの全貌を映画化。「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 でアカデミー賞に輝いたカズ・ヒロ(辻一 弘)が特殊メークを担当。本年度アカデミー賞では主演女優賞(シャーリーズ・セロン)など三部門で候補に上った。
監督:ジェイ・ローチ/出演:シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、ジョン・リスゴー/配給:ギャガ
©Lions Gate Entertainment Inc
そういった社会の問題を顕在化させるために、もっとも有用で活用すべきなのは映画なんですよね。しかも、きちんと娯楽化したストーリーの中で、そのテーマを暗に分からせるというのが、社会の流れを変えるのにもっとも効果的であることは、LGBTQの人権活動と映画の関係をみても明らかです。
そうすると、これらシスターフッド映画が今後の女性の地位向上に一役買うのかも。と感じながら観られますよね。いや、一役買うほどじゃないかもしれないけど、後の世で必ず、「2020年はシスターフッド映画が豊作だった」とされることは間違いありません。
ハリウッドのパワーウーマンのみなさん、もっと作って楽しませてほしいわ、シスターフッド映画!