いまハリウッドでは女性たちが主人公の『シスターフッド映画』が着実に増えてきています。『シスターフッド(Sisterhood)』とは姉妹関係や女性たちの連帯を意味する言葉で、シスターフッド映画とは、女性たちの強い友情・絆を描く作品のこと。今なぜそれが増えているのか?今なぜそれが見逃せないのか?2020年最大のトピックの一つになりそうなシスターフッド映画を解説します。(文・よしひろまさみち/デジタル編集・スクリーン編集部)

本物の姉妹ではなくても姉妹愛に似た友愛に溢れる映画

シスターフッドとは?
姉妹関係や姉妹のような間柄を指し、女性解放運動などにおける女性同士の連帯も意味する。「Sisterhood」という言葉は「旅するジーンズと16歳の夏」(原題:The Sisterhood of the Traveling Pants)などしばしば映画のタイトルにも使われ、「ハスラーズ」は近年のシスターフッド映画の代表格。

いわゆる#MeToo運動から顕在化し始めた、女性が物語の主軸を担う映画。いや、昔から女性主人公の映画はあったものの、女性映画=恋愛ものかコメディか、なんて誰が決めた?ってくらいステレオタイプなものばかりだったと思いません?

2020年代の今、女性が男性と同等に扱われるのは当然だし、女性が世界を救うのもいいし、女性がボスになってもいいし、女性のシリアスなドラマがあってもいいわけですよ。というか、その概念が「わからない......」とかほざく人は、この先を読まなくてもけっこう。そして、時代に乗り遅れてさびしい人生を歩んで下さいまし、というより他ありません。チーン。

シスターフッド映画 のはしり

画像: シスターフッド映画 のはしり

二人の女性の逃避行を描く「テルマ&ルイーズ」
Photo by Metro-Goldwyn-Mayer/Getty Images

そのジャンルの傑作であり、はしりでもあるのが『テルマ&ルイーズ』でしょう。序盤こそコメディ的な要素があるものの、後半は身もだえするほど熱い友愛に包まれる大傑作。

これよ、これ。こういうのをシスターフッド映画っていうんでしょ?本物の姉妹ではないけど、姉妹愛にも似た友愛に満ちあふれ、かつてはそれがレズビアン的な要素として扱われてきた、いわゆる「女性のバディ映画」。そういえば「バディ映画=男性の相棒映画」と定義する古い考えよね。バディって、単純に相棒って意味だから、これを女性コンビにしてもバディはバディだと思うんだけど。

とはいえ、シスターフッド映画ってのはなかなかいい言葉かも。というのも、バディ映画って人のお話。2人に限定しないでも、中核となる女性キャラがいた上で、3人以上の女性が友愛を育んで大活躍するっていう作品も多いから。

たとえば『ハスラーズ』なんて、そのお手本のようなキャラ構成。主人公のラモーナとデスティニーの2人を物語の中心にしているけど、彼女らをとりまく同僚ストリッパーも同じ苦悩を抱えて、目的を共にするわけだものね。

公開中
「ハスラーズ」

画像1: 2020年大豊作!今“シスターフッド映画”が見逃せない理由

2008年のリーマン・ショック後、景気悪化を引き起こした元凶である金融マンたちを相手に、大金を騙し取る計画を企てたストリッパーたちの衝撃の実話を映画化。主演・製作総指揮は“奇跡の50歳”といわれるラテンの歌姫ジェニファー・ロペスが務め、「クレイジー・リッチ!」で注目されたコンスタンス・ウーがW主演。「エンド・オブ・ザ・ワールド」でデビューした女性監督ローリーン・スカファリアがメガホンを取る。

監督:ローリーン・スカファリア/出演:コンスタンス・ウー、ジェニファー・ロペス、ジュリア・スタイルズ、キキ・パーマー/配給:REGENTS
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そう考えると、まさに今、シスターフッド映画は華盛り。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』もジョーカーと破局した後のハーレイ・クインが、命を狙われる女子を守るために、女子チームを組んで戦うってお話。

2020年3月20日(金)公開
「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」

DCコミックスのスーパーヴィランたちの活躍を描 いた2016年の「スーサイド・スクワッド」。その最人 気キャラクターとなった、天真爛漫でクレイジーな“悪 カワ”ヒロイン、ハーレイ・クインの単独映画が誕生。 最愛の人ジョーカーと破局したハーレイが、クセ者 だらけの最凶チームを結成し、裏社会を牛耳る残忍 なブラックマスクとの“悪VS悪”の戦いに挑む! 本 年度アカデミー賞候補に上ったマーゴット・ロビーが 再びハーレイ役に。

監督:キャシー・ヤン/出演:マーゴット・ロビー、メーリー・エリザベス・ウィンステッド、ジャーニー・スモレット・ベル、ロージー・ペレス/配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

リブート版『チャーリーズ・エンジェル』は、説明不要のチャリエンであることプラス、女性監督が女性のために作ったようなお話。女性監督によるシスターフッド映画でいえば『ブラック・ウィドウ』も『ワンダーウーマン』シリーズもそうよね。しかも、『ブラック・ウィドウ』はどうやらロマノフのリアル姉妹のお話になるって噂だし。

2020年2月2日(金)公開
「チャーリーズ・エンジェル」

画像2: 2020年大豊作!今“シスターフッド映画”が見逃せない理由

1970~80年代にTVドラマとして一世を風靡し、キャメロン・ディアズ主演で映画化もされた人気シリーズ「チャーリーズ・エンジェル」がスタッフ&キャストを一新して新たに映画化。新たな三人のエンジェルに扮するのは「アラジン」のナオミ・スコット、「トワイライト」のクリステン・スチュアート、新進女優エラ・バリンスカ。主題歌をアリアナ・グランデ、マイリー・サイラス、ラナ・デル・レイという三人の歌姫が初コラボで歌う。

監督:エリザベス・バンクス/出演:クリステン・スチュアート、ナオミ・スコット、エラ・バリンスカ、エリザベス・バンクス/配給:ソニー・ピクチャーズ

あ、リアル姉妹のヒット作もありますよね、『アナと雪の女王2』とか。はたまた、オスカー候補入りも果たした『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』とか。単に女性が主人公で、というだけではおさまらない、女性が女性であることを強要される世の中に対して、「女性がみな、そう扱われたいんじゃないんだってば」と言っているかのようなラインナップでしょ?近作だけでもこんなにごっそり。

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