7本目の長編監督作「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」で初の英語作品に挑戦したドラン。彼の言葉から本作に懸ける思いを読み解く。

グザヴィエ・ドラン インタビュー

“映画監督になった今でも役者にファンレターは書いているよ”

19歳の時に、半自叙伝的ともいえる「マイ・マザー」で鮮烈な監督デビューを飾ったグザヴィエ・ドラン。新作を発表するたびに賞賛の渦は広がり、ついに前作「たかが世界の終わり」でカンヌ国際映画祭グランプリに輝いた。今回、満を持して放たれる本作は5年におよぶ構想期間を経て作られた、彼にとって初の英語作品。“とにかく映画を作ることが大好き”という彼が今回描くのは、あるスターと少年の話。自身も子役として活躍していたドランが当時夢中だったレオナルド・ディカプリオに手紙を書いた経験が基になっている。

「『タイタニック』は単に子供の頃から好きというだけでなく、僕にとってすべての出発点だった。性に目覚めて、カルチャーや映画に対しても目覚めた。そして野心的な作品に刺激され、人生にも目覚めたんだ。演技や服のデザインや映画の撮影など、僕にはどんな芸術の道も開けていると気づいた。僕は映画を作る際、毎回何らかの目標を設定している。本作も当初用意した“やることリスト”はすべて達成できた。

まずは今までと違う場所で撮ること。次にある時代にトリビュートすること。そして1990年代のファミリードラマに捧げることだ『。グッドナイト・ムーン』『ミセス・ダウト』『ジュマンジ』『ホーム・アローン『』タイタニック』『リトル・プリンセス』『バットマン・リターンズ』へのオマージュなんだ。どれも僕が子供の頃に夢中になった映画さ。今回すべて参考にしたよ」

画像: “映画監督になった今でも役者にファンレターは書いているよ”

インディペンデント映画からスタートしたドランにとって、本作は製作面でもキャスティング面でも大きなチャレンジになったという。

「今回もインディペンデント映画ではあるけど、過去の作品とは規模が違う。そして作品にかけた時間も断然長い。2012年の末頃から友人のジェイコブ・ティアニーと脚本を書き始め、撮影と編集をして年かけて完成させたんだ。これまではか月ほどで編集を終えていたからね。初めての体験だから苦労が多く、時々孤独感や喪失感に襲われたけど、完成した作品を見て“これだ、これを作りたかったんだ”と実感した。だから時間をかけた甲斐はあったね」

作品に自身を投影することの多いドランだが、今回はどのように反映させているのだろうか。

「少年だよ。テレビ画面に映っている役者たちに憧れて、いつか自分も彼らのようになりたいと思っているんだ。僕もまさにそういう子だった。今回出演してくれたスーザン・サランドンやキャシー・べ―ツも、みんな僕が子供の頃から憧れていたヒーローのような存在なんだ。僕は当時から大好きなアーティストに手紙を書いて、返事が来ることを夢見ていた。映画監督になった今でも役者たちにファンレターは書いているよ“。あなたの大ファンです。ぜひこの脚本を読んで、会ってもらえたらうれしい”と。すると、うれしいことに役を引き受けてくれたりするんだ。マイケル・ガンボンは腕に彼の顔のタトゥーを入れるくらいファンなんだ。彼にタトゥーを見せたら、微妙な反応をしていたけどね」

ドラン監督に3つのクエスチョン!

Q1. あなたにとって映画製作とは?

画像: Q1. あなたにとって映画製作とは?

企画から完成まで製作の過程すべてに関わりたい。逆にすべてに携われないのであれば映画を作れない。映画はさまざまな芸術の融合であり、どこも切り離せないんだ。

Q2. 演出上、俳優経験は役立つか?

画像: Q2. 演出上、俳優経験は役立つか?

僕は演じることが大好きで、俳優を尊敬している。これまで監督として演技指導をしたことはなく、俳優目線で俳優の言葉で彼らと話すようにしているよ。

Q3. 衣装へのこだわりは?

画像: Q3. 衣装へのこだわりは?

本当は自分で作りたいくらい素材選びからこだわっているよ。もし俳優や監督じゃなかったら、ファッションデザイナーかインテリアデザイナーになっていたかもしれないね。

ジョン・F・ドノヴァンの死と生
2020年3月13日(金)公開

原題:ジョン・F・ドノヴァンの死と生/カナダ=英/2018/2時間3分/配給:ファント ム・フィルム=松竹
監督:グザヴィエ・ドラン/出演:キット・ハリントン、ナタリー・ポートマン、スーザン・サラン ドン、ジェイコブ・トレンブレイ、キャシー・ベイツ
©2018 THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN INC., UK DONOVAN LTD.

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