映画人生の新たな一歩を踏み出した名匠と坂本龍一の奇跡のコラボ
本作は、台湾を代表する映画監督の一人ツァイ・ミンリャンが市井の人々の「顔」を捉えたドキュメンタリー映画。13の顔に浮かび上がる、生きていく哀しみと歓び。究極のドキュメンタリーであり、豊饒なドラマともいえる作品だ。
台北、西門町に佇む中山堂。日本統治時代に建てられ長い歳月の歴史を刻むその館内の暗闇に浮かび上がるもう若くはない、 13 人の顔、顔、顔 。ある者は黙って遠慮がちにレンズを見据え、ある者は身の上話を語り、ある者はハーモニカを吹き、そしてある者はカメラを前にしながらうたた寝を始める 。その市井の人々の顔の、皺一本一本が、まなざしが、口元のかすかな動きが、彼らが生きてきた人生を饒舌に語り始める。そこに待つのは斬新なのにどこか懐かしい、特別な映像体験だ。
前作『郊遊〈ピクニック〉』で商業映画からの引退を表明していたツァイ・ミンリャン監督が5年ぶりに放つ本作は、ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映されるや「彼の映画人生の新たな一歩を踏み出した」(ハリウッドレポーター誌)と言わしめた。
音楽には坂本龍一を起用。第二作『愛情萬歳』以降、既成楽曲しか使ってこなかった監督、久々のオリジナル音楽。本作で坂本は、台湾金馬奨音楽賞にノミネート、台北電影節では見事受賞を果たしている。出演者は監督作に欠かすことの出来ない俳優のリー・カンションを除き、全て監督が台北の 街なかで見つけた一般の人々である。
あなたの顔
2020年6月27日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
配給:ザジフィルムズ、トランスフォーマー
©2018 HOMEGREEN FILMS TAIWAN PUBLIC TELEVISION SERVICE FOUNDATION ALL RIGHTS RESERVED