「チェスはゲームじゃない」「命がけの頭脳戦だ」
本作は、パリへ逃れた政治難民の少年がチェスチャンピオンを目指す感動の実話を映画化した作品。国籍・年齢を越えた師弟の絆、親子の愛、巡り合った友情とともに立ちはだかる数々の壁をその明晰な頭脳で次々と打破しながら自身の力で力強く未来を掴んでいく少年ファヒムの姿に熱く胸を打たれる人が世界中で続出し、 2020ニューヨーク国際児童映画祭では長編作品 (Grown-ups award)賞受賞を果たした。
このたび解禁された予告編は、バングラデシュから大好きな母の元を離れ、難民として命がけでパリへやってきたファヒムと父親が、チェスのトップコーチ・シルヴァン(ジェラール・ドパルデュー)が教えるチェススクールを訪れるところから始まる。
目的は母国・バングラデシュですでに天才チェス少年として有名だったファヒムの実力をさらに磨き、チャンピオンを目指すこと。
しかし、最初は自分のチェスの腕に自信満々のファヒムだったがやはり世界の壁は厚く、シルヴァン相手に思うように勝利を収められない日々が続いてしまう。
「チェスはゲームじゃない」「命がけの頭脳戦だ」・・・彼の才能を確信していたシルヴァンは、ふて腐れるファヒムに対して、厳しくも根気強く彼を導いていく。
そして、フランス語もわからず「難民申請も困難」と国から告げられながらも必死にシルヴァンにくらいついていくファヒムをみて「言葉がわからなければ僕らが教える」と温かい手を差し伸べる同じ教室の子供たち。
そして時は過ぎ、目を見張るような成長を遂げていくファヒム。その実力を確信したシルヴァンは、ファヒムを連れてフランス全国大会への参戦を決意する。
しかし待ち受けていたのはフランスの厳しい“難民”への対応だった。。「俺のチームに勝ちたくて、薄汚い移民をスカウトか?」「国に強制送還されれば、引き離されこの子の命が危ない」「不法滞在者が勝ってもチャンピオンとして認められない」突きつけられるいくつもの現実。
しかしファヒムは、さまざまな社会や国の事情に翻弄されながらも「ママに約束したんだ、僕が迎えにいくって」と自分が勝利すればまた家族が一緒に暮らすことができるとまっすぐに信じて、夢のため、生きるために必死でチェス盤と向かい合う姿に感動必至の映像となっている。
ポスターはファヒムが真剣にチェスの勝負をする姿を捉えたもの。彼を包む暖かなオレンジカラーが、「その一手に希望をのせて」というキャッチコピーとともに、ファヒムを信じて支える周囲の人々の愛情を表現するかのような、あたたかで優しい未来を感じさせるものとなっている。
ファヒムの才能をいち早く見抜き、彼をフランス王者にするために厳しくも愛情溢れた熱心な指導に没頭するファヒムのチェスコーチ・シルヴァンを演じるのはフランスの誇る名優・ジェラール・ドパルデュー(『シラノ・ド・ベル・ジュラック』)。
チェスの天才少年ファヒムを演じたのは、これが演技初挑戦であり、彼自身も撮影が始まる約3ヶ月前にバングラデシュから政治亡命者の息子として逃れてきたというアサド・アーメッド。ある日突然父親から「いとこと一緒にでかけろ」と言われた先が映画のキャスティング現場だったと言う。
本作について「脚本の内容を聞いた時、とても感動しましたし、バングラデシュの首都ダッカで起こっているいろいろな問題を思い出しました。ファヒムの物語は僕のものではありません。でも僕が経験してもおかしくなかった」「この映画を通して、人々が移民の生活が簡単ではないと分かってくれることを願います」とその想いを語っている。
ファヒム パリが見た奇跡
2020年8/14(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:東京テアトル/STAR CHANNEL MOVIES
©POLO-EDDY BRIÉRE.