登場する女性たちに親近感を抱かなくてもいい
それでも私たちは運命共同体だと気づくはずだから(シャーリーズ)
──自身が演じるキャラクターにはどんな印象を抱きましたか。
シャーリーズ
メーガンという超有名な女性を、果たして演じられるのかどうかって思ったわ。外見にも話し方にも特徴があってとても複雑な女性だから。でも、ニコールやマーゴットという素敵な共演者と一緒にこの物語を作ること、そして監督兼プロデューサーのジェイ・ローチは私から最高以上のものを引き出してくれる最高のセンスの持ち主で、心から信頼できる友人だから、安心してすべてを委ねることができたのだと思っているの。
──劇中で顔を合わせるのはたったの1シーンですが、お互いの印象はいかがでしたか。
マーゴット
シャーリーズは出番がない日も現場にいてくれた。プロデューサーとして最初からこの作品に深く関わっているし、気持ちで扱えるテーマじゃないし、シャーリーズの本気が伝わってきたわ。
あのシーンのポイントは誰もお互いに話しかけようとしないところ。それぞれが問題を抱えていて、孤独で周囲との壁を感じているから軽々しく話しかけられない。この作品でとても重要なシーンだと思っているの。
ニコール
もっと3人一緒のシーンがほしいと思っていたわ。私は何でもかんでも詰め込みたがるから(笑)。でも、セリフがなくても多くを語ることができると分かったの。すごくいいシーンになったと思う。
現場では「気まずい沈黙があるほうがいい」というジェイに、シャーリーズが「じゃあ、オナラする?」なんて言ってみんなを笑わせていたわ。
──それぞれのキャラクターについて、どのように役作りされたのですか。
シャーリーズ
撮影が始まるまでに完璧に体得していたいという気持ちがあって、メーガンの経歴や行動、話し方との関係を徹底的にリサーチしたの。発声の特訓と同じくらいリサーチから学ぶことも重要だと思っているから。
ニコール
周囲に変化をもたらす存在であるグレッチェンの性質を前面に出すことが重要と感じたから、リサーチしながら彼女の人物像を練り上げていったわ。限られたシーンの中で、彼女の行動がいかに重要であるのかを伝えたいと思っていたの。
マーゴット
私は演技に説得力を持たせるために、キャラクターやシーンの背景を自分で組み立てて、行動や発言の理由を突き詰めるようにしているの。ケイラの育った環境が、彼女の性格や信念に関係していることを意識しながら演じたわ。
──ロジャー・エイルズ役のジョン・リスゴーの存在は欠かせませんよね。
シャーリーズ
ジョンは申し分なかった。女性目線で描かれているような作品に参加してくれる俳優を見つけるのは、本当に難しいこと。突破しなければいけない第一関門みたいなものね。
温かい心と寛大さがあるだけでなく、熱心な研究とメイクのおかげでエイルズの持つカリスマ性と、人に愛される魅力を余すことなく表現してくれたのよ。
マーゴット
ジョンは最高にいい人。「君たちは最高だ、一緒に仕事ができて最高!」っていつも言ってくれる。とっても大好きよ。撮影初日のジョンとニコールのシーンは本当に待ち遠しかった。
美しいニコールが見るに堪えないと言われるグレッチェンをどう演じるのか知りたかったから。でも、彼女を見て思い知ったの。さすがニコール・キッドマンだって!シャーリーズもそうだけど、彼女たちには人を惹きつける力があるのよ。
──本作に込めた思いを教えてください。
シャーリーズ
登場する女性たちのことをよく知らなくてもいいし、親近感を抱かなくてもいい、共通点がなくても構わない。それでも私たちは運命共同体なんだと気づくはずだから。セクハラ撲滅は、特定の女性のためではなく全女性のための闘いだと思っているわ。
ニコール
伝えたいのは3人の物語だけでなく、権力に虐げられているすべての人たちの現状。そしてこの問題が世界でどう扱われているのかを知ってほしいし、“出口はある”と伝えたいわ。“声を上げれば誰かに届くはず”とね。
マーゴット
職場でのセクハラ問題は、法律では取り締まれないのが厄介なところ。改善するには人々の意識を変えるしかないと思う。男性、女性、リベラル派、保守派なんて関係ない。どんなに複雑でも諦めずに話し合いを続けて意識を変えるしかない、全員に関わる問題ね。
シャーリーズ
作品から絶望や激しい怒りを感じるかもしれないし、あまりの不条理さに笑えてくるかもしれない。そういう感情が作品に複雑さや豊かさをもたらすもの。作品を観ているうちに、登場人物と同じ場所に自分もいるような感覚、強烈な体験が味わえると思うわ。
「スキャンダル」
2020年8月5日ブルーレイ&DVD発売
監督/ジェイ・ローチ
出演/シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、ジョン・リスゴー
2016年、アメリカでトップ視聴率を誇るテレビ局「FOXニュース」CEOによるセクシャルハラスメント告発事件が勃発。巨大権力を相手に、立証が難しいセクハラ問題で立ち向かう女性たちの姿を、実話を基に描き出していく。
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