毎月公開される新作映画は、洋画に限っても平均40本以上!限られた時間の中でどれを見ようか迷ってしまうことが多いかも。そんなときはぜひこのコーナーを参考に。スクリーン編集部が“最高品質”の映画を厳選し、今見るべき一本をオススメします。今月の映画は成績優秀な女子高生二人組の怒涛の一夜の冒険を描く青春コメディー「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」です。

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
2020年8月21日(金)公開

画像: 女子高生二人が青春を取り戻そうと奮闘!! 今月の編集部イチオシ映画「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」

「リチャード・ジュエル」などで知られる女優のオリヴィア・ワイルドが映画監督デビューを果たした青春映画。優等生として学生生活を送ってきた二人の女子高生が、4年間分の青春を取り戻そうと、高校最後の一夜に大騒動を繰り広げる。全米批評家の絶賛を浴び、ハリウッド批評家協会賞で女性監督賞など5部門を受賞。「レディ・バード」のビーニー・フェルドスタインと「ショート・ターム」のケイトリン・デヴァーが共演。

監督/オリヴィア・ワイルド
出演/ケイトリン・デヴァー、ビーニー・フェルドスタイン、ジェシカ・ウィリアムズ、リサ・クドロー
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編集部レビュー

もはや青春映画に主人公も脇役もない

画像: もはや青春映画に主人公も脇役もない

この間「エイス・グレード」の時、いまどきの青春映画はすごい勢いでアップデートされていく、と書いた気がするけど、またしてもそれが更新。今度は見かけはイケていないけど勉強はできる女子二人が主人公。以前のハリウッドだったら完全に脇役キャラだったけど、この二人を主人公に痛快、かつちょっと切ない、でもハッピーなワンナイトストーリーが展開。

とにかく印象的なのが、もはや青春映画に主人公も脇役もないということ。おじさん臭くまた書いてしまうけど、以前だったらコンプレックスにもなりかねない“火種”がすでに“個性”として他者に認識され、また自身のアイデンティティーとして確立されているので、誰もが“恋”以外の悩みをほぼ持っていないかのような自信に満ちている(ように見える)。大枠では「アメリカン・グラフィティ」(1973)なんだけど……

レビュワー:米崎明宏
編集長。とにかくビーニー・フェルドスタインがまるで『東大一直線』の東大通か? と見まごうパワーで必見。どんな女優になっていくのか今後に期待。

「偏見という呪い」を乗り越えていく二人の姿が感動的

主人公の女子高生二人の友情が尊くて、涙が出そうになったシーンがある。「私なんて性格ブスだし」と自分を否定する主人公に親友が平手打ちを食らわすのだ。そして言う。「今度自分を卑下したらボコボコにする」と。こんな友人がいたら最高だなあと思う。監督は本作をバディ映画として撮ったというが、何よりこの二人の魅力に惹きつけられずにいられない。

映画はこの“優等生”二人が失われた青春を取り戻そうと奮闘する爆笑の夜を描いていくのだが、真のテーマは彼女たちの成長。二人がこの一夜を通して知るのは、偏見に抵抗していた自分たち自身が、同級生を見下し否定していたという事実。一晩の騒動を通して自分と他者を理解することを学び、「偏見という呪い」を乗り越えていく二人の姿が感動を呼ぶ。愛に満ちたエンディングまで爽やかな気持ちで満たされる作品だ。

レビュワー:疋田周平
副編集長。監督は本作の参考に様々な刑事バディ映画を見たとか。「トレーニング デイ」もその一本だったそうで…高校生活も命がけ!

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