「私の悲しみが、太古より眠るダンスを目覚めさせる」
モダンダンスの始祖として知られるイサドラ・ダンカン(1877〜1927)。20世紀初頭、舞踊の世界に革命を起こした彼女は、1913年4月、二人の子供を事故で亡くし、その痛みに苦しみながら、亡き子どもたちに捧げるソロダンス「母」を創り上げた。それから 100 年の時を経て、現代に生き
る4人の女性がイサドラの「母」と邂逅する…。
『若き詩人』『泳ぎすぎた夜』(五十嵐耕平との共同監督)が話題を呼んだフランスの俊英ダミア
ン・マニヴェルが、まったく新しい試みで「母」の翻案に挑み、イサドラと<子どもたち>の物語を紡ぎあげる。女たちの身体を通して呼応し、伝播していく、喪失と再生の物語だ。
このたび公開された予告編は、「私の悲しみが、太古より眠るダンスを目覚めさせる」という、伝説のダンサー、イサドラ・ダンカン自身の言葉から始まる。
そして様々な立場にいる 4 人の女性たちが、自分の表現でイサドラのダンスを吸収していく様子が映し出されていく。
バックに流れるスクリャービンの音楽と空気の澄んだ秋のフランスの風景が相まって、情感溢れる美しいドラマが想起される予告となっている。
悲しくも崇高な物語が、ミニマムな物語形式と情感溢れるカメラワークによって紡がれ、ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービン(1872〜1915)の楽曲が美しく彩る。
その先鋭的な映画手法は、コンテンポラリーダンサーとしても活躍した監督だからこそなしえたも
の。それはダンス映画の枠を超え、一篇の詩のように私たちを魅了する。第 72 回ロカルノ国際映画祭最優秀監督賞を受賞するなど世界的な評価も受ける秀作が待望の日本公開を迎える。
イサドラの子どもたち
2020年9月26日(土)より、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
配給:コピアポア・フィルム