“映画界の若き救世主”“カンヌの申し子”──グザヴィエ・ドランを賞賛する言葉には、いつも若さや年齢を感じさせるキーワードがセットだった。そんな彼も30代に突入し、8本目の監督作「マティアス&マキシム」では“純愛”をテーマに新たなステージへ進んだ。衝撃のデビューから11年、最新作公開を前に今一度ドランの華麗すぎる足跡をたどってみよう。(文・奥村百恵/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:(c) 2013 Product ions Miraculum Inc.

グザヴィエ・ドラン 2007〜2019作品一覧

主演
短編「鏡」(2007)

家族と避暑地で夏休みを過ごす思春期の少年
※「エレファント・ソング」DVD 映像特典として収録

主演
「マーターズ」(2008)

ある女性の復讐によって惨殺される一家の長男

監督&主演
「マイ・マザー」(2009)

画像: ©2009 MIFILIFILMS INC
©2009 MIFILIFILMS INC

情緒不安定な母親との関係に苦悩する少年の姿を描いた愛憎劇で半自伝的作品。17歳で脚本を執筆し、19歳で撮影した長編監督第一作で、ドランは主人公の少年ユペールを演じている。思春期の少年の葛藤をリアルに体現。

監督・主演
「胸騒ぎの恋人」(2010)

画像: ©2010 MIFILIFILMS INC
©2010 MIFILIFILMS INC

同じ男性を好きになってしまった男女の奇妙な三角関係を描いたラブストーリー。ドランは親友(女性)が好きな男性に恋をしてしまったゲイの青年を演じている。予算が少なかったことから行きつけのカフェやドランの自宅でも撮影を敢行。

監督
「わたしはロランス」(2012)

画像: ©2012 Production Laurence INC / MK2 SA /ARTE France CINEMA
©2012 Production Laurence INC / MK2 SA /ARTE France CINEMA

“ 女性になりたい”とパートナーに打ち明けた男性教師ロランスと、彼の恋人フレッドとの10年にわたる愛を描いたラブストーリー。前2作について荒削りな点も多いと話すドランだが、本作に関しては“ 自慢の映画だ”とコメントしている。

監督・主演
「トム・アット・ザ・ファーム」(2013)

画像: 2013 – 8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinéma ©Clara Palardy
2013 – 8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinéma ©Clara Palardy

ケベック州の雄大な田園地帯を舞台にしたサイコサスペンス。以前は“ アイデアと欲求に従って作っていた”というドランはこの頃から“ リアルで感動的な物語をしっかりと伝えることが何よりも大切だと気付いた” と語っている。

監督
「Mommy /マミー」(2014)

Photo credit : Shayne Laverdière / © 2014 une liale de Metalms inc.

架空の世界のカナダを舞台に、シングルマザーのダイアンとADHD(注意欠如・多動性障害)の息子の愛と葛藤を描いた人間ドラマ。主人公のスティーヴの両手の動きに合わせて1:1 のアスペクト比だった画面のサイズが横に広がる驚きのシーンが話題に。

主演
「神のゆらぎ」(2014)

画像: (c) 2013 Product ions Miraculum Inc.
(c) 2013 Product ions Miraculum Inc.

信仰と死の恐怖の狭間で揺れる白血病患者

主演
「エレファント・ソング」(2014)

©Sébastien Raymond

精神病院に入院している患者で一番の問題児

監督
「たかが監督 世界の終わり」(2016)

画像: ©Shayne Laverdière, Sons of Manual.
©Shayne Laverdière, Sons of Manual.

自分の死期が近いことを悟り12年振りに帰郷した劇作家のルイと家族のすれ違いや衝突を描いた作品。パッケージの特典映像ではカメラ前での演技中に突然指示を出すドラン独自の演出方法に驚いたと俳優たちが明かしている。

ドキュメンタリー
「グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル」(2016)

「マイ・マザー」から「たかが世界の終わり」までの軌跡を追ったドキュメンタリー。ドラン作品常連のアンヌ・ドルヴァルやギャスパー・ウリエルら俳優のインタビューも充実。

監督
「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」(2018)

画像: ©2018 THE DEATH AND LIFE OF JOHN F.DONOVAN INC.,UK DONOVAN LTD.
©2018 THE DEATH AND LIFE OF JOHN F.DONOVAN INC.,UK DONOVAN LTD.

若くして世を去った美しきスター俳優の衝撃的な死の真相が、少年との秘密の文通によって明かされる様を描いた作品。ニューヨーク、プラハ、ロンドンを舞台に物語が展開する本作は、ドランが世界的監督に成長したことを示している。

出演
「ある少年の告白」(2018)

同性愛強制施設に入所する主人公と共に治療を受ける青年

出演
「ホテル・エルロワイヤル」(2018)

女性歌手の音楽プロデューサーで嫌味な男

監督・主演
「マティアス&マキシム」(2019)

出演
「IT /イットTHE END “ それ” が見えたら、終わり。」(2019)

不良少年やペニーワイズの犠牲となるゲイの男性

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