近年人気を集めている動画配信サービス。舞台や映画・ドラマファンにとって、なくてはならないツールと言っても過言ではないでしょう。「ブロードウェイ作品も自宅で観られたら良いのに…」と、日ごろより感じているファンのみなさんに朗報!松竹ブロードウェイシネマにて上映されたブロードウェイの傑作が、今秋より動画配信サービスにて配信がスタートします。そこで今回は、動画配信についての歴史と、筆者が待望する松竹ブロードウェイシネマの人気作『シー・ラヴズ・ミー』の魅力についてご紹介します。(文:宇田夏苗)

動画配信サービスの歴史を振り返ると…

画像: 動画配信サービスの歴史を振り返ると…

みなさんは普段、動画配信サービスを利用しているだろうか。新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、ネット動画を観る人が大幅増加しているそうだ。日本では5年前に7.7%だった有料動画配信サービスの利用率は今や21.5%に。 動画配信が一般的になった大きなきっかけは、スマートフォンの登場だった。2008年にiPhone3G、翌年にGoogleOSのAndroid搭載機種が日本で発売されてスマホ時代が幕開け。2011年にiPadが発売されてタブレットが普及し始め、動画配信の視聴環境が一気に広がった。(※「動画配信ビジネス調査報告書2020」インプレス社調べ)

この流れの中で登場したのがHuluだ。ハリウッド映画や海外ドラマなどが定額料金で見放題のSubscription Video On Demand(SVOD)方式を導入し、2011年から日本でサービスがスタート。続いて日本上陸したNetflixは、今や動画配信サービスでトップシェアを持つリーダー的な存在に。

そのほかAmazonプライム・ビデオ、U-NEXT、dTV、ライブスポーツに特化したDAZN、さらにDisney+(ディズニープラス)など、サービス間の視聴者獲得競争に注目が集まっている。

新たな動画配信のスタイル「MIRAIL(ミレール)」とは?

これらの配信サービスと一線を画すのが、動画配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」だ。他のサービスとの最大の違いは、映画・音楽・アニメ・バラエティなどさまざまな作品のコンテンツホルダー(製作、販売者や企業)からユーザーが作品を直接レンタル、購入できること。つまり“直営型”動画配信サービスとなっているのだ。

SVOD(定額制動画配信サービス)と異なり月額費用が不要なため、観たい作品単位でレンタル・購入できるのも大きなメリット。作品を提供する側にとっては、独自の料金設定や自由なサービスが構築できることもあり、新たな動画配信の可能性が広がりそうだ。

そしていよいよ今秋より、松竹ブロードウェイシネマの傑作が、この「MIRAIL」にて配信スタート!映画館で本場ブロードウェイを中心としたステージが楽しめる松竹ブロードウェイシネマの感動が、オンラインを通していつでもどこでも味わえるようになる。

初回作品は、当コラムにて前回ご紹介した『ホリデイ・イン 』。2017年にブロードウェイ・ミュージカルとして日本で初めて上映され、一大ニュースとなった本作が身近に楽しめるようになることは、ブロードウェイファンにとって嬉しいニュースに違いないだろう。

今後も続々と作品が公開される予定。ここで、今回は筆者が楽しみにしている松竹ブロードウェイシネマ作品のひとつ『シー・ラヴズ・ミー』の魅力についてご紹介する。

今につながるミュージカル『シー・ラヴズ・ミー』

画像1: 『シー・ラヴズ・ミー』 ©Joan Marcus

『シー・ラヴズ・ミー』

©Joan Marcus

コロナ禍で人と会うことがままならない今日この頃。SNSなどを活用し、家族や友人・恋人とコミュニケーションを取ることが日常と化している。大切な人に会えないことはもちろん辛いが、メールの文面だからこそ本音が伝えられ、相手のことがわかったり、心が触れ合ったりするもの。今回ご紹介する『シー・ラヴズ・ミー』でも、相手と想いが繋がることがきっかけで始まる恋模様がコミカルに描かれている。

香水店で働くアマリアとジョージは犬猿の仲だが、二人には意外な共通点が…それはそれぞれに匿名の文通相手がいて、その相手に密かに恋心を寄せていること。しかし文通の相手は、実はアマリアとジョージのお互い同士だった!という運命のいたずらを軸にしたストーリー。名作『屋根の上のヴァイオリン弾き』を生んだジェリー・ボック(作曲)&シェルドン・ハーニック(作詞)による楽曲にオープニングから心湧き立つラブコメディーの傑作だ。

日本でも何度も翻訳上演されている人気作の魅力を、筆者が改めて実感したのは、2016年のNYラウンドアバウト・シアター・カンパニーのプロダクションによるリバイバル版だった。

まず主演コンビが素晴らしいの一言。勝気さがむしろ愛らしいアマリア役のローラ・ベナンティは、シリアスもコメディも演じられる現代のブロードウェイを代表する実力派。近年では、#Me Too時代を反映した演出が話題を呼んだ『マイ・フェア・レディ』のイライザ役にて高い評価を得ている。

『シー・ラヴズ・ミー』

©Joan Marcus

ジョージ役のザカリー・リーヴァイは、ブラインドデート(面識ない人とのデート)を題材に、ブロードウェイでスマッシュヒットを記録した『ファースト・デート』(2013年)などラブコメディーがよく似合う。ハンサムでありながら、ユーモラスを兼ね備えている上に、清潔なセクシーさが漂っており、『シー・ラヴズ・ミー』では、アマリアが自分の文通相手と気づき、本気で彼女に恋をしていくジョージを抜群の歌唱力にて演じている。

その他、人気TVシリーズ『アリーmy Love』のジェーン・クラコウスキーをはじめ、脇を固める俳優たちの芸達者ぶりにも感嘆する。松竹ブロードウェイシネマにて劇場公開された際、数々のミュージカルファンの心を鷲掴みにした本作は、動画配信でも注目されるに違いないだろう。

本場ブロードウェイのステージが楽しめる松竹ブロードウェイシネマ。その感動を、今後は動画配信にてもっと身近に、自分の好きな場所や時間で味わってみてはいかがだろうか。そこにはミュージカル作品の魅力や素晴らしさはもちろん、今まで感じることのなかった新しい感動体験が待っているはずだ。

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