杉山すぴ豊
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
マーベルが贈る初のオリジナルドラマ
「ワンダヴィジョン」
「ブラック・ウィドウ」の劇場公開、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」配信が延期されたため2020年に唯一楽しめるMCUが本作。注目したいのは死んだはずのヴィジョンがなぜ出てくるのか? MCU初のシットコムな世界観とは一体どういうことなのか?ですが原作コミックではワンダは現実を変える力を持っており、彼女の力が作り出したもう一つのちょっと不思議な現実世界なのかもしれません。
予告編を見る限りこの作品には2人の間に双子が生まれるようですが、コミックでは彼らはウィッカン、スピードという超人になります。「ホークアイ」のドラマに登場すると言われている2代目ホークアイことケイト・ビショップ(演じるのはヘイリー・スタインフェルド)らとともに彼らは若手ヒーローによる“ヤング・アベンジャーズ”というチームを作るのでその布石?
さらに「キャプテン・マーベル」(2019)で主人公を応援したあの女の子モニカ・ランボーが成長してソード(シールドに対してこういう組織があるのです)のエージェントとしてこのドラマで活躍するらしくMCUにソードをデビューさせる作品になりそうです。また本作は映画『ドクター・ストレンジ』の続編にもつながるようです。
ワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)
テレキネシス能力と心理操作の力を併せ持つ超能力者。最凶の敵サノスすら凌ぐほどの強大な力を秘めている。同じアベンジャーズのメンバー、ヴィジョンとは相思相愛の仲。
ヴィジョン(ポール・ベタニー)
アイアンマンをサポートする人工知能ジャーヴィスとマインド・ストーンの融合で誕生した人造人間。気高き精神と数々の超人的能力を持つ。命を落としたはずだったが…?
「ワンダヴィジョン」
ディズニープラスにて2020年末 独占配信
監督:マット・シャックマン
出演:エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー
ウォルト・ディズニー・ジャパン配給
「アベンジャーズ」のマーベル・スタジオが贈る初のオリジナルドラマシリーズ。「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)公開から約1年半、ワンダとヴィジョンの"その後"が、シットコム(シチュエーション・コメディー)のスタイルで描かれる。「ゲーム・オブ・スローンズ」などのエピソード監督を務めたマット・シャックマンがメガホンを取り、エリザベス・オルセン、ポール・ベタニーが「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」(2018)以来となる共演。
© 2020 Marvel
彼女はなぜアベンジャーズになったのか
「ブラック・ウィドウ」
ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)
世界最高のエージェントにして超一流の暗殺者。「アイアンマン2」(2010)で初登場し、アベンジャーズの一員として計7本の作品に登場。因縁の地であるブダペストが今回の舞台の一つ。
ブラック・ウィドウの知られざる過去(物語的には「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)と「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」(2018)の間の話)を描くわけですが「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)での彼女の運命を考えると彼女がこの先スクリーンに登場する可能性はないハズ。ではなぜMCUのフェイズ4の第一弾映画にこの作品を持ってきたのか? この作品で提示される“なにか”がこれからのMCUに大きな影響を与える?
フローレンス・ピュー演じるエレーナ・ベロワは原作では2代目のブラック・ウィドウで、本作に登場するタスクマスターはマーベルの中でも人気のヴィランです。この映画にはウィリアム・ハート演じるサンダーボルト・ロスも姿をみせています。彼らはコミックでは“サンダーボルツ”というチームを結成します。フェイズ4にこのチームが出てくるのか?
さらにナターシャがエレーナに顔を変えて活動していたなんていうエピソードも原作にはあったので、もしかするとスカーレット・ヨハンソンとフローレンス・ピューが実は顔を交換していた!という、映画「フェイス/オフ」(1997)のような驚愕な展開も? 一方、本作でこれからのMCUに関わる超目玉ヴィランが登場との噂もあるのです。
「ブラック・ウィドウ」
2021年4月29日(木・祝)公開
監督:ケイト・ショートランド
出演:スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズ、デヴィッド・ハーバー
ウォルト・ディズニー・ジャパン配給
©Marvel Studios 2020
「アベンジャーズ/エンドゲーム」で衝撃の決断を下した人気キャラクター、ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフの初の単独映画。孤独な暗殺者ブラック・ウィドウはなぜアベンジャーズになったのか。彼女を暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの恐るべき陰謀とは? 彼女の謎に包まれた過去と秘密が明かされる。スカーレット・ヨハンソンが八度目となるブラック・ウィドウ役を演じ、その"妹"エレーナ役に「ミッドサマー 」(2019)のフローレンス・ピュー。
MCUフェイズ4の公開スケジュールはこうなる!
「シャンチー」と「エターナルズ」の順番が変更に!
「ブラック・ウィドウ」
日本公開:2021年4月29日(木)
監督:ケイト・ショートランド
出演:スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー
「シャンチー・アンド・レジェンド・オブ・テンリングス(原題)」
日本公開:2021年7月9日(金)
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
出演:シム・リウ、トニー・レオン
「エターナルズ(原題)」
日本公開:2021年10月29日(金)
監督:クロエ・ジャオ
出演: アンジェリーナ・ジョリー、リチャード・マッデン
「MCUスパイダーマン映画3作目」
日本公開:2021年12月17日(木)
監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ
「ソー:ラブ&サンダー(原題)」
日本公開:2022年2月11日(木)
監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン
「ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)」
日本公開:2022年3月25日(木)
監督:サム・ライミ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、チュイテル・イジョフォー
「ブラック・ウィドウ」の公開延期に伴い、今後のMCUの劇場公開スケジュールが改めて発表になりました(上記スケジュール参照)。
これらの合間をぬってディズニープラスでいくつかのMCUドラマが配信されるわけです。MCUは綿密に作品ごとのつながりを計算しています。しかしウィルス禍によりスケジュールが大幅に狂い、ブラックパンサー役のチャドウィック・ボーズマンさんの逝去によって、色々なことを練り直している可能性もあります。(「ブラックパンサー2」はフェイズ5の最初の作品とされ、2022年5月6日全米公開予定)
まず注目したいのは「シャンチー」と「エターナルズ」の公開順が変わったことです。「シャンチー」は肉体的アクション活劇で若手のヒーローだから、“スパイダーマン”と被ると判断し公開時期をはなしたのかもしれません。
フェイズ4はMCUドラマの「ワンダヴィジョン」で始まり映画「ドクター・ストレンジ~」(サム・ライミが監督と言うことでも楽しみ!)で締めるようですが、ワンダが「ドクター・ストレンジ~」に出るらしいのでこの2作のリンケージは強い。
そしてどちらもマルチバース(この宇宙には可能性の数だけ世界が存在し、それらはパラレルワールド的に存在するという考え方)を描いており、MCUにマルチバースを組み込むのがフェイズ4の大きな特徴です。この設定を使って「ドクター・ストレンジ~」には別現実のトニー・スタークが登場し、それをトム・クルーズが演じる、との噂もあります(笑)。
一方「エターナルズ」(超人族)「シャンチー」(格闘技の達人)という今までのMCUにはなかったタイプのヒーローたちがデビュー。フェイズ3までのヒーローが徐々に減り、新たなヒーローが生まれてくる。
ちょっと寂しい気もしますが、こうした中ソー役のクリス・ヘムズワースはまだまだ引退しないと、ファンにとっては嬉しい発言をしてくれました。まずはとにかく来年ゴールデンウィークに無事「ブラック・ウィドウ」に会いたいですね。
\MCU19作品は『ディズニープラス』で配信中/
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