解説者
中野ダンキチ(サメンテーター /サメ映画学会顧問)
■サメ映画学会とは?
“サメ映画をフカく知ることで更に楽しく観たい!”この考えに賛同できれば資格あり。「“陸ザメ”知られざるその生体」や「鳴く!叫ぶ!吠える!サメ映画」など、時にゆる~く、時に関心すらしてしまう。そんなサメ映画に関する研究発表をイベントやSNSを通じて行っている自由参加の団体です。
ドキドキハラハラの“サメ映画”は、映画のジャンルと言っても過言ではない!
サメ映画の勢力は、ここ数年で急速に拡大してきました。もう一つのジャンルといっても違和感は無いでしょう。それは“サメ”が銀幕の“スター”であるという魅力に、皆さんが気付いてしまったことに他なりません。
えー?そう?…なんて疑問に思う方がいるかもしれません。ちょっと待って!そんなアナタもチラ見せ程度にあの三角形の背ビレが画面に登場するだけで、このあと何か大変な事が起こるかも…とドキドキハラハラの展開を期待していませんか?そう! サメはスクリーンで燦然と輝くスターなのです。
そんな世界観を作った作品といえば、もちろん『ジョーズ』(1975年)。これほどまでに、映像・音楽・ストーリーの三位一体感を味わえるパニック作品なんて、そうそうありません。実際には、サメの姿が登場するシーンは多くは無いのですが、常に襲ってくるかも?という印象付けで、何度観ても「ああ、サメは怖い。映画でよかった」と思わせてくれます。
結果、“海→サメ→恐怖”の三段連想を人々の心に刷り込み、サメを“スター”としての立場に引き上げたのです。
“ニュージェネレーション”
サメ映画の隆盛から原点回帰して“新風”を吹かせる
しかし、近年増殖しているのが、“海→サメ→恐怖”の定義を崩す“ニュージェネレーション”サメ映画です。
火付け役は『メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス』(2009年)。ゴールデンゲートブリッジにガブリと噛み付き、巨大タコと戦わせて怪獣的にサメを扱い“恐怖”を飛び越し“興味”の存在に。
更に、竜巻に巻き上げられたサメたちが空から降り、なぜか人を襲う『シャークネード』(2013年)は、“サメ=海”の考えすらブチ壊し、レディー・ガガなど各界の著名人もTwitterで反応するほど、アメリカを中心に大旋風を巻き起こしました。
以降、大小メーカーが新たな発想で次々とサメ映画を生み出します。海を飛び出し、陸へ、宇宙へ、家の中へ…もはや「サメ映画だったら仕方がない」という悟りの境地へ到達。”スターであるサメ”はイジられる立場でも、輝きを放ち続けているのです。
さて、そんなサメ映画に、原点回帰とばかりに“恐怖”を武器に、新風を吹かせるのが『ディープ・ブルー3』(2020年)です。
人間の言葉や行動を理解している知的なサメたちが、時に静かに、時にダイナミックに襲いかかってきます。大丈夫。ちゃんとサメは海からの登場です。
練り込まれた展開には、サメだけでは無い肉弾アクションもあるなど、退屈するヒマ無し! 終盤には、手に汗握るサメとの攻防も待っており、興奮でサメ肌…いや鳥肌が立つ作品に仕上がっています。
そして最大の注目は、ミヤ・サトウ役で出演の蒼れいなさんです。これまでサメ映画に出演を果たした日本人俳優は一握り。中でもハリウッド製作のサメ映画に“メインキャスト”で出演したのは、これが最初。サメ映画史に残る快挙なのです。
銀幕のスター“サメ”と日本人初“サメ映画スター”の共演による最新サメ映画。ぜひご覧あれ!
『ディープ・ブルー3』
ダウンロード販売中、デジタルレンタル配信中/ブルーレイ& DVD 発売中・レンタル中
ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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