映画はよく観ますがドキュメンタリーものは新鮮でした
── プレーの部分はいかがでしたか。
「有名な〝神の手〞と〝5人抜き〞が同じ試合で起きたということを知らなかったんです。要所要所でプレーするシーンが出てきますが、1人でサッカーをしているんじゃないかなというくらい(笑)。
今でいうメッシ選手のような。最初ナポリに加入した時に苦戦していたシーンもありましたが、スピード感やプレースタイルというのを多少変えつつ自分の良さを出すというのは、僕も同じような経験があるので、ただうまいだけでなくやはり賢い人だなと感じました」
── チーム移籍を経験されたことのある東選手も共感できましたか。
「チームが変ると雰囲気も違いますし、サッカーのスタイルも違うので、慣れるのに時間もかかります。僕たちは国内での移籍が多いですが、マラドーナさんはスペインからイタリアへの移籍ですし、サッカーも全然違いますから、彼はアジャストしていく力もあったのではないかと思います」
── マラドーナさんから取り入れたいものや見習いたいと思ったことはありましたか。
「技術の全部を取り入れたいですけど(笑)。そうですね、マラドーナさんは決して悪い人ではなかったと思うんです。人間性が良くて周りから愛されていて。
ナポリの優勝シーンなどを観ても、みんなから尊敬されているし、頼りにされているところなど僕もそうありたいなと思います。僕も同じ背番号10番でキャプテンをやらせていただいていますが、そういう憧れはあります」
── 今回映画を観ていただきましたが、プライベートでも映画を観ますか?
「映画は結構好きで、戦争ものを観ることが多いです。特に洋画を観ますね。『硫黄島からの手紙』(2006)も観ました。いろいろな作品を観ていますが、今回のようなサッカーの映画を観ることはあまりなかったので、とても新鮮でした。
ドキュメンタリーで、選手の背景や経緯が知れるのはすごくいいなと思います。これを観ていなかったら、マラドーナさんがどういう経緯でこうなったのかが分からないままだったと思うので、本当に観て良かったです」
── 家以外でも映画は観ますか?
「遠征の移動中とかに観ますね。飛行機とか新幹線とかで。映画館に行くことは少ないです。家の方がリラックスできるので(笑)。それでも『鬼滅の刃 無限列車編』(2020)は映画館に観に行きました。それぐらいは押さえておかないとなって」
── 最後に、東選手が感じた作品の見どころと新シーズンに向けての意気込みをお願いします。
「薬物のことなどもあって、年代的にはマラドーナさんに対してあまり良いイメージを持っていない人も多いかもしれません。でも映画を観れば本当にマラドーナさんが好きになります。
僕も最初は半信半疑で観始めましたが、観終わった後には彼の人間性や育った環境が分かる映画だと思います。ぜひそういう気持ちで観てほしいなと思います。
そして、僕たちFC東京は昨シーズンにJリーグYBCルヴァンカップのタイトルを獲ったので、リーグのタイトルも獲れるように頑張っていきたいなと思います」
『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』
昨年急逝した“サッカーの神様”の相反する二つの顔に迫るドキュメント
イタリア南部のSSCナポリに移籍した世界的サッカー選手ディエゴ・マラドーナは、チームをメキシコW杯優勝、クラブ史上初のセリエA優勝に導き、スーパースターとして崇められるようになる一方、マフィアとの黒い交際やコカイン所持による逮捕、愛人とのスキャンダルなどでトラブルメイカーの汚名も着てしまう……
彼の二つの顔に迫るのは、アカデミー賞受賞の『AMY エイミー』(2015)などで知られるアシフ・カパティア監督。マラドーナ本人の協力も得て、選び抜かれた貴重な秘蔵映像と共に不世出の天才の光と影を明かす
全国順次公開中 ツイン配給
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Photos by Ayano Miura (c)F.C.TOKYO