3月5日(金)より、80年代に大ヒットしたコメディ映画の続編『星の王子 ニューヨークへ行く 2』がAmazon Prime Videoにて独占配信される。主演のエディ・マーフィら当時のキャスト陣が再集結したことも話題を呼んでいるが、日本語吹替版にも豪華声優陣が集結した。今回は、主人公のアキーム/エディ・マーフィを担当した山寺宏一、新キャラクターのイジー将軍/ウェズリー・スナイプスを担当した江原正士にインタビューを行った。

本当に思い入れの強い作品なんです(山寺)

―30年前の大ヒット作の続編ということで、どんな気持ちでしたか?

山寺:最初の『星の王子ニューヨークへ行く』(88)はアーセニオ・ホール演じるセミをやらせてもらって、その何年後かにエディのアキームをやらせてもらったということもあり、本当に思い入れの強い作品です。世界観も含めて大好きなんです。ジョン・ランディス監督のファンでもありますし。最近こんな映画ないなぁと思っていたところで、まさかの続編。非常にうれしかったと同時に、もし自分にエディ・マーフィが回ってこなかったら辛かったなと思っていました。お話をいただけて、本当に良かったです。もちろん、江原さんがエディ・マーフィで、僕がウェズリー・スナイプスって言われても頑張ってやりますけどね!

アキーム王子、他/エディ・マーフィの日本語吹替えを担当した山寺宏一(左)
イジー将軍/ウェズリー・スナイプスの日本語吹替えを担当した江原正士(右)

江原:ほんと(笑)?僕は「そんな前の作品の続編を作るんだ」とすごく驚きましたね。

―前作のどういったところが好きでしたか?

山寺:独特の世界観ですね。声優の立場から言うと、芸達者なエディ・マーフィに声を当てられるのは仕事の醍醐味の一つとも言えます。理髪店のシーンなんて役者4人だけで複数人を演じている。そういうの大好きなんです。ちなみに、前作でアーセニオ・ホールに声を当てた時は、彼がやっていない人までやりましたから(笑)。

画像: アキーム王子/エディ・マーフィ(右)、セミ/アーセニオ・ホール(左)

アキーム王子/エディ・マーフィ(右)、セミ/アーセニオ・ホール(左)

江原:俺も『ナッティ・プロフェッサー』で複数の役を吹き替えましたが、そういうことが好きなんでしょうね。本作の吹き替えをやる人も大変だろうなと思いましたが、まさか山寺さんとは(笑)。キャスティングに関してはウェズリーも出ているので、エディが自分に回ってくるとは正直思っていませんでした。僕の場合、「やりたい!」と思うとなぜか他の方に行ってしまう(笑)。なので、今回はウェズリー・スナイプスを頑張りました!

画像: イジー将軍(右) 『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios

イジー将軍(右)
『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios

山寺:前回もそうでしたが、細かい仕掛けとかギャグもやっぱり面白いですよね。理髪店のシーンも、アメリカの国内情勢を揶揄したセリフが挟み込まれていたりして、最高に楽しいです。ギャグだけじゃなくて、アキームの息子や娘との親子関係も描かれています。子どもたちだけでなく、アキームも変化していく。そこも見どころの一つです。

―30年前と同じキャストが揃っているのもすごいですよね。

山寺:一番驚いたのは、王様役のジェームズ・アール・ジョーンズ。ダース・ベイダーの声を務めたね。ほかの方も含めて、若々しい感じがしますよね。

画像: ジャファ王/ジェームズ・アル・ジョーンズ 『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy ofAmazon Studios

ジャファ王/ジェームズ・アル・ジョーンズ
『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy ofAmazon Studios

江原:不思議ですね。やっぱり最前線でやっている人は元気なんだね。

山寺:僕はエディと同い年なんで、すごい不思議な感じがします。

江原:エディ・マーフィは、驚くぐらい貫禄が出ました。役の幅が広がっている感じがしましたよね。役者っぽくなったと言いますか。

―本作ではどのようなアプローチを大切にされましたか?

山寺:アキーム王子は前作から時間が経って、次の王になる準備を進めているんです。しかも父として娘も三人いる状況。成長した雰囲気もあり、エディもちょっと抑えた演技をしているので、それに準じてやりました。その分、理髪店でやる他のキャラクターは、エディ同様はっちゃけてやりました!

画像: 本編理容室のシーンより 『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios

本編理容室のシーンより
『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios

江原:近いところだと『ルディ・レイ・ムーア』のウェズリーは映画監督で往年の彼のイメージと少し違いますが、今回は将軍。かつて僕が担当した(デモリションマン)のウェズリーのイメージに近いところがあるので、そこはかなり意識しました。また、コメディ映画なので彼も遊びをちょっと入れている。そういった部分も出せたらいいなと思いました。あとは、山寺さんのアキームとの親密感も大切にしましたね。

―今回、アドリブはありましたか?

山寺:僕は江原さんと違って、いつも台本通りです(笑)!語尾やセリフの長さで若干言い回しを変えた所はありましたが、基本的には作っていただいた台本通りにやりました。

江原:山寺さんに喧嘩を売られているのかなー(笑)。今は製作サイドからの要請もあり、以前のようにアドリブを入れられない状況なんです。昔、僕らがやったアドリブは、語尾を短くしたり、逆に短いときは一言二言足してみたり、また、(息)の芝居をオリジナルより強くしたり、口は開いているけど音がないので淋しいから感嘆詞を入れてみたりと、それを許してくれるディレクターもいれば、「NG」と言う方もいました。昔、オリジナルの編集がずさんな深夜映画などの吹き替えをする時、ディレクターが「話が分からないところを説明してくれ」と言うので、前半の話のダイジェストを何も音のないところでセリフにして入れたことがあるんです。すると、視聴者には分かりやすくなったんですね。その辺からアドリブの味を覚え出して、自主的にいろいろと挑戦した時期も確かにありました。それが許された大らかな現場もあったという楽しい思い出ですね。

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