大ヒット中『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、監督陣による舞台挨拶が開催

エヴァ関連では久々の公の場となった庵野総監督。登壇時の挨拶では「今日は皆さんに、スタッフの代表として直接お礼を言う最後のチャンスかなと思い、出ることにしました。」と、観客への感謝を伝えるために登壇したことを説明。

それに続き、鶴巻監督は「テレビ（NHK『プロフェッショナル～仕事の流儀』）のせいで体調を心配されるのですが、元気でやっているので大丈夫です」と笑いを誘い、前田監督は「自分は新参者ですが、参加できてとても良かったです」と、それぞれ挨拶をした。

挨拶の後は碇シンジ役・緒方恵美の質問に監督陣が答えるかたちでトークは進行。

前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：Q』をも超え、累計興行収入70億円突破＆累計観客動員数460万人を突破した本作。「興行収入が70億円を超えた事実をどう思われますか？」という質問に対しては、各監督ともに観客への感謝を述べたほか、庵野総監督からは「80～90億円を超えると『シン・ゴジラ』を超えて（自身の）レコードになる。さらに100億まで行くとアニメ業界にいい。「エヴァ」はロボットアニメ。「ガンダム」ですら達成していない100億円を目指せるのは本当にありがたい」と語った。

また、ミニュチュアやモーションキャプチャーなどアニメ制作には珍しい手法が用いられている本作。そのことについて庵野総監督は「頭の中でできた画面ではない、実際に存在するものを切り取ることでアニメーションをつくることに挑戦した。本当に大変なんでやらないほうがいい」と説明。アニメの手法だけでなく、実写の手法も取り入れられたハイブリッドな手法により本作が作られたことが明かされた。

監督陣が語る小ネタ（ネタバレ注意！）

情報量が膨大な本作。「観客が気付いていない小ネタはありますか？」との質問には、前田監督が「アスカがビースト化してオリジナルのアスカが迎えに来る場面がありますが、もともとのシナリオでは13号機の中にコピーされた不完全なカヲルがいるという設定でした。画の力関係が変わってオリジナルのアスカが画面の中心になってほとんど見えなくなっていますが、目を凝らしてみるとなんとなく人影が見えるかもしれません」と驚愕の裏話を披露。

一方、鶴巻監督は「ゲンドウが脳みそを拾うシーンについて、“ユイのことを忘れたくないから脳を拾っている”という解釈を見かけてすごく面白いと思いました」と作品に再発見があったことを語った。

庵野総監督は「エヴァの画面は物語上必要なものと、画として美しいもの、僕自身の人生について関わりのあるもの、スタッフの好きなものが散りばめられている。それが世界観を広げている。そういう所を考察するのもいいかなと思います。」と作品に自身やスタッフの好きなものが投影されていることに触れたうえで、「ラストカットの実写にはすごいお金をかけて好きなものを一つ入れているので、気付いていただけると幸いです」と語った。

また、話題を呼んだ『プロフェッショナル～仕事の流儀～』について触れる一幕も。「（同番組を）観ましたか？」との質問に庵野総監督は「僕は観ていない。自分が出ているものは観ない。」と即答。続けて「“プロフェッショナル”というタイトルだからずっと断っていた。でも、エヴァを取り上げてくれるとのことで出演した」と番組に関する裏話を語り、場内の笑いを呼んでいた（ちなみに鶴巻監督は5年後に観る予定とのことで、前田監督は録画して視聴したそうだ）。

最後に、改めて監督陣がコロナ禍の中映画館に駆け付けてくれた観客たちへの感謝を述べ、拍手に包まれながら舞台挨拶は終了した。