友人の結婚披露宴が終わり、その二次会が始まるまでの間に、高校時代につるんでいた男友だち6人が過ごす、どうしようもなく特別な時間。そんな時間をどこまでも愛おしく、胸の奥底をかきむしるように切り取った物語が、松居大悟監督の最新作「くれなずめ」だ。主人公の吉尾を演じた成田凌が、まずは松居監督作品に主演した喜びから語り始めてくれた。
(text/大久保和則 photo/増田慶)

男同士のバカな部分を描きながら、感動しそうな展開に
なっても‟感動なんてさせないよ”っていう

「松居監督の作品は、この仕事をする前から見ていたので、いつかご一緒したいと思っていました。だから、お話をいただいた時は、すごくうれしかったですね。ちょうどその時、松居監督の舞台が上演されていたので、その舞台を観に行って、終演後に『やりたいです』と監督に直接伝えました。出演させていただいて、やっぱり面白い人だなと思いました。男同士のバカな部分を描きながら、感動しそうな展開になっても“感動なんてさせないよ”っていう方向に持っていったりとか、遊び心がある脚本を書くなーって。僕はずっとこういう作品に出演したかったし、熱くなるものがありながら、演じさせていただきました」

成田演じる吉尾は、ほかの5人と一緒に同じ時間を過ごしつつ、1人だけ“別の時間”も生きている。そこに映し出される姿に、吐き出される言葉に、観る者は泣いて、笑って、そしていつの間にか人間の“生と死”に向き合っている自分に気づく。

「自分だけじゃなくて、親もいつ死んだっておかしくないし、友だちだってそう。仲がいい友人で『人はいずれ死ぬしな』って口癖みたいに言っているんですが、楽しそうに生きていて。僕もそんなふうに、『いつか死ぬ』ってことを認識しながら、楽しく生きたいです」

男たちが紡ぐ物語は、それぞれのやるせなくも熱い思いが、まばゆく乱反射しながら、ラストシーンに向けてじわじわと加速していく。

「劇中に『生きるだけだろ!』ってセリフがあるんですけど、そういう映画だと思います。観終わって映画館から出たら、外の空気をいつもより多めに吸って、誰かの顔を思い浮かべてみてください。そうしたあとに、思い出の曲でも聴きながらたまには歩いて帰ってみようかなって思ってもらえたら、すごくうれしいです。公開される時期は、散歩にちょうどいい季節だと思うので」

STORY

高校時代からの男友だち6人が、友人の結婚披露宴のため、5年ぶりに集まった。6人は、高校の文化祭で披露した“赤フンダンス”を余興で披露することを決め、思い出話に花を咲かせ、酒を飲み交わしていく。そして、披露宴当日、余興の赤フンダンスで会場を微妙な空気にしてしまった彼らは、それぞれが吉尾(成田)に対する“ある思い”を抱きながら、二次会までの時間を過ごし始める。

くれなずめ
4/29(木・祝)公開

監督:松居大悟 
出演:成田凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹/高良健吾

配給:東京テアトル

© 2020 「くれなずめ」製作委員会

画像: 男友だち6人で過ごす、特別な時間。成田凌『くれなずめ』インタビュー

4月21日発売のSCREEN6月号にて、成田凌グラビア+インタビューを掲載

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