人気アメコミ系映画ライター・杉山すぴ豊さんが、アメコミ・ホラー・SFなど多様なジャンル映画の情報を“深い知識と深い愛”をもってお届けする本連載。今回取り上げるのは、今夏公開予定の『ザ・スーサイド・スクワッド “ 極”悪党、集結』!コミックの知識から映画タイトルの裏話までマニアックなトピックをお届けします!
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杉山すぴ豊

アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。

悪党に加えて、鮫人間に怪獣も集まっちゃう『ザ・スーサイド・スクワッド  “極”悪党、集結』

ちょっとショック。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の『ブラック・ウィドウ』の全米公開が2021年7月6日になり、劇場公開とディズニープラス配信の同時リリースと発表されました。

この原稿を書いている時点で日本の劇場公開(2021年4月29日)がどうなるのかまだ発表されていませんが、ナターシャにいつ、どんな形で会えるのかわからなくなってきました。(その後日本でも2021年7月6日へ延期)

サノスの指パッチンかワンダのヘックス・パワーか、あるいはトニー・スタークの天才的頭脳でウィルスを消して欲しいと切に願います。

ひねりのきいた設定のジェームズ・ガン監督作

一方とてもワクワクさせてくれたのが日本時間の3月26日午前1時、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の予告編が世界同時解禁になったこと。

本作は2017年の『スーサイド・スクワッド』の“続編”というよりも“続編”の形を借りた完全リメイク作ともいうべき作品。監督はジェームズ・ガン。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』2021年夏全国公開 配給:ワーナー・ブラザース映画

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前作より見た目がぶっとんでいるチーム員が増え日中のシーンが多い(前作は夜のミッション)ので派手。会話やアクションが超過激。アメリカではR指定です。

この予告でいい味だしているのはキング・シャークという鮫人間。敵をバリバリくったりとインパクト大ですが、なんと声を演じているのがシルベスター・スタローン!

スタローンとガン監督はMCUの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でも組んでいるので相性がいいのでしょう。さらにビックリなのはヒトデ型の巨大怪獣(ちゃんとKaijuと発音しています)が出てくること。

このモンスターはDCコミックに登場するスターロ(STARRO)というエイリアン。1960年に刊行されたジャスティス・リーグのコミック1号(Justice League of America #1)の表紙でフラッシュ、アクアマン、ワンダーウーマンらと戦っていました。

ジャスティス・リーグ創刊の表紙を飾ったキャラをスクワッドの敵にもってくるとは! こういうひねりがガン監督らしいです。人にとりついてマインド・コントロールもするのでメンバーが操られるという展開もあるかな? 

2017年に放送されたDCをテーマにした実写コメディ“Powerless”にもスターロはでてきます。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OFPREY』でやや人間味が出てきたハーレイが、本作ではまたクレイジーなキャラに戻った感じ。

今回は赤いドレスですが銃をぶっぱなすところなどエレガントでかっこいい。ハーレイが咳エチケットを仲間に諭すシーンもあり、社会性もとりいれてます(笑)。

原題に「“極”悪党、集結」はない?映画タイトルについての裏話

邦題は『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』となりましたが、この作品、原題では前作が『スーサイド・スクワッド』、今回が『ザ・スーサイド・スクワッド』と“ザ”のあるなしだけが違いなので日本ではお客様がちゃんと差別化するために長い副題をつけたようです。

ちなみにMCUのソー映画は本来『THOR 〜』で『マイティ・ソー〜』と“マイティ”がつくのは(多分)日本だけですが、これは“ソー”だけだと、あの怖い“ソウ(SAW)”と間違えてしまう人が多いからだそうです(笑)。

ホラー映画の邦題と言えばいま絶賛公開中の『ザ・スイッチ』。女子高生と殺人鬼の心と体が入れ替わってしまうというコメディ・ホラー。

今やホラー映画界のブランド、ブラムハウスの製作で今回も傑作! 主演のキャスリン・ニュートンは『名探偵ピカチュウ』のヒロインで、次のアントマン映画でアントマンの娘キャシーを演じます。

彼女もまたヒーローとして活躍するハズなので注目株。『ザ・スイッチ』の原題は『Freaky(フリーキー)』というのですが、監督のクリストファー・B・ランドン(これまた快作の『ハッピー・デス・デイ』の監督) は当初『Freaky Friday the13th』というタイトルで考えていた。

これはFriday=フライデー/金曜日が共通する2つの映画のタイトルを組み合わせたもので、まず心と体のいれかわりコメディ『フリーキー・フライデー(なんとディズニー映画)』、そして『13日の金曜日』です。確かに映画の内容を言い表していますね。

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