株式会社エスピーオーの動画配信サービス「おうちでCinem@rt -いつでも・どこでも- 」で本日より日本未公開作『69歳』の独占配信がスタートした。
実際の事件に着想を得た、人間の尊厳を描いた作品
『69歳』は、韓国で実際に起きた高齢女性への性的暴行事件を基にした作品。本作で長編監督デビューしたイム・ソネが描き出した人間の尊厳について考えさせられる普遍的な内容が高く評価され、第24回釜山国際映画祭では観客賞を受賞した。今回は同作の配信に合わせて、ライター・小田香氏による作品解説が公開された。
小田香氏による解説
韓国映画界では今、日本でも話題を呼んだ『はちどり』のキム・ボラをはじめ、『わたしたち』のユン・ガウン、『夏時間』のユン・ダンビら、多くの女性監督の活躍が目立っています。共通点は優れた作品性で高く評価されていること。そんな系譜に連なるのが、20年間映画界で活動した後、本作でデビューしたイム・ソネ監督です。映画『69歳』は脚本も手がけた監督が、2012年に実際に起きた高齢女性への性的暴行事件の記事を読んだことから生まれました。
リハビリに通う病院で29歳の男性看護師から性的暴行を受けた69歳のヒョジョン。警察に通報するも、容易に信じてもらえず、同居人ドンインの協力で闘うことを決意。ヒョジョンは介護の仕事をしながら、身なりに気を遣い、水泳で鍛えたしゃんとした様子は、一見裕福な家の奥様のよう。知り合いの女性看護師からは「いつもおしゃれで介護人に見えない」と言われます。褒めたつもりの言葉に、二重三重の差別と偏見が感じられないでしょうか。高齢で何の後ろ盾もない女性は、この社会では最も弱い立場の存在なのです。
実際の事件は被害者の自殺という悲しい結末を迎えましたが、サスペンスとしての面白さもある映画は、決して暗くはありません。ヒョジョンの毅然とした佇まいが清々しく、見ているうちに痛ましい思いは消え、ドンインがヒョジョンのために奔走する姿に温かな気持ちにさせられます。演じた名優イェ・スジョンは『82年生まれ、キム・ジヨン』では古い時代の女性の代表であるジヨンの祖母役でしたが、Netflixで配信され現在話題を呼んでいる「Mine」をはじめ、多くのドラマで様々な役柄を演じています。
この作品は昨夏の韓国公開時、フェミニズム映画として不当に攻撃される目にも遭いましたが、2019年の第24回釜山国際映画祭では観客賞を受賞し、最終的に非常に高く評価されました。何より映画を見れば、人間の尊厳について考えさせる普遍的な内容だということが感じ取れるはずです。
Text:小田香(ライター、編集者)
『69歳』
7月23日(金)より「おうちでCinem@rt -いつでも・どこでも-」にて独占配信
≪ストーリー≫
69歳のヒョジョンは男性看護師に暴行を受ける。彼女はそのことを同居人のドンインに告げ、警察に通報するが、警察を含め信じる人はごくわずかであった。ほとんどの人間が若く男前の男が本当にそんなことをするのかと疑っていたが、ヒョジョンを愛していたドンインだけが彼女を守ろうとする。しかし、彼自身も心からヒョジョンを信じることが出来ずにいてしまう。
男性看護師は合意のもとの行為だったと主張し、裁判所にも訴えが棄却されてしまい、頼れる者はヒョジョン自身だけになってしまう。
監督:イム・ソネ
出演:イェ・スジョン、キ・ジュボン、キム・ジュンギョン、キム・テフン、キム・ジュンギ
2020年/100分 /韓国/配給:エスピーオー
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1作品の視聴料金
先行配信1,200円 ※視聴可能時間、料金は作品によって異なります
新作550円 (税込)(視聴可能時間:48時間)
旧作440円(税込) (視聴可能時間:48時間)
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