杉山すぴ豊
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
特報に10年以上ぶりのあのキャラが登場!『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
7月に『ブラック・ウィドウ 』、8月に『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』とアメコミ映画ファンにとっては久しぶりに盛り上がる夏です! こうした中、ファンを喜ばせるサプライズがありました。9月3日公開のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の最新予告編がリリースされたのです。
ここでファンをビックリさせたのはこの予告の最後にアボミネーションらしきキャラが登場することです。アボミネーションというのは2008年のMCU2作目『インクレディブル・ハルク』に登場したヴィラン。“白いハルク”ともいうべき怪物で、ハルク打倒に執念を燃やす軍人エミル・ブロンスキー (演じるのはティム・ロス)が超人血清等を投与して変異しました。
アボミネーションはMCU×デイズニープラスのドラマ『シーハルク』にも登場すると言われており、映画『シャン・チー』からドラマ『シーハルク』への接点が出来ました。この『シーハルク』というのは、ハルクことブルース・バナーの従妹で弁護士のジェニファーがブルースの血を輸血したことで彼女は女ハルクになる、という物語です。
主演は「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」のタチアナ・マズラニー。MCUでブルースを演じるマーク・ラファロも当然出演します。さらにドラマ『グッド・プレイス』のタハニ役でブレイクしたパキスタン系のイギリスの女優ジャミーラ・ジャミルがタイタニア(Titania)というヴィランを演じます。このタイタニアは原作コミックだとドクター・ドゥームというヴィランにゆかりのあるキャラ。このドクター・ドゥームはファンタスティック・フォーの宿敵です。
なので『シーハルク』にタイタニアが出るということは、ドクター・ドゥームの存在も示唆される。それが映画(MCU版)『ファンタスティック・フォー』につながる、のかもしれません。こういう連鎖を妄想できるのがMCUの楽しいところです。
若手監督が新たな伝説を紡ぐ!『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
さて『シャン・チー』の予告リリースと同時にもう1つジャンル映画ファンをワクワクさせるニュースが飛び込んできました。日本時間の6月23日午前3時(ハリウッド時間の22日の11:00)に来年公開される、新『トランスフォーマー』映画についてのオンライン発表会が開催されたのです。
幸運にも僕は日本人として“招待”され、プレゼンテーションの様子をオンタイムで見ることができました。結論から言うと新トランスフォーマー映画は22年6月24日全米公開(ちょうど公開1年前だからキックオフとしてこのイベントが開催されたのです)。タイトルはTransformers:Rise of the Beasts(邦題は『トランスフォーマー/ビースト覚醒』)と発表されました。
これはファンにとって大喜び。というのも“ビースト”という言葉がもりこまれていることからもわかるように、トランスフォーマーのアニメ&おもちゃの中でも人気の“ビーストウォーズ”というエピソードを元にした作品になる模様。トランスフォーマーは乗り物に変形するわけですが、この“ビーストウォーズ”に登場するトランスフォーマーたちは動物に擬態するのです。
従ってこの軍団のリーダーであるオプティマス・プライマル(声の出演はロン・パールマン)はなんとゴリラに変形します。日本でもこのシリーズは1997年ごろ『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』というタイトルで放送されおもちゃがバカ売れ。動物のフィギュアをガチャガチャいじるとロボットになるんですから子どもにとってはたまらない魅力。僕も持っていました(笑)。
本作の監督であるスティーブン・ケイプル・Jrは『クリード 炎の宿敵』の監督で若干33歳。彼は子供のころトランスフォーマーのアニメが好きだったと公言しています。前の『トランスフォーマー』映画シリーズを作っていたマイケル・ベイとここが大きく違うところ。トランスフォーマー世代が作る新たなるトランスフォーマー伝説に期待したいですね。
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