──「ブラックリスト」がスタートしてからもう8年が経ちます。開始時の2013年と、2021年の現在とで、書き方や製作の方向性に変化を感じることはありましたか?
テレビドラマの世界で、8年は長寿の域に入ります。特に、毎年22話もやっていますからね。(しみじみと)うん、長いですね。
変わったことはあります。大きな違いとしては、どうすれば良いストーリーが出来るか、ということがずいぶん分かるようになったということ。ドラマの立ち上がり当初というものは大抵そうなんですけど、「ブラックリスト」が始まったころも、こういうタイプの物語はこのドラマに合うだろうか、合わないだろうかと探っていました。今も物語の構造の実験を続けているところです。
最初の3年間は、どういうストーリーにするかを決めるだけで、最低でも2〜3週はかかっていました。日にして10〜15日です。アイデア出しから始めて、よし、これで書いてみよう、という流れです。でも今では、それが5日くらいで済むようになりました。作品への理解が深まっていますし、できること/できないことへの理解も深まりました。初めの頃は、ひとつのストーリーが終わって次のストーリーを考えなくちゃいけないときに、「もうダメだ、もう思いつかない」という感じでした。でもやっていくうちに、どう作ればよいかが、ずいぶん分かるようになりました。これが大きな変化ですね。今でも新しいエピソードの製作は怖いですし、難しいことに変わりはありませんが、ストーリーの効果的な伝え方が分かるようになったというのは、ドラマの舞台裏の大きな変化です。
──日本では「ブラックリスト シーズン8」の放送がいよいよスタートしました。楽しみに待っている日本の視聴者に見どころを教えて下さい。
通常、大きな展開があれば、シーズンの終わりまでには完結しているものですよね。だから新シーズンは新しいことを始められる。しかし、シーズン7はパンデミックによって終了していたので、シーズン8の最初の3話は、かなり大きな始まり方になっています。なぜなら、これはもともとシーズン7のラストでやるはずだったものだったからです。シーズン8はロケットスタートで始まりますよ。それで第2話の前半までに大きなことが起こって、3話から4話にかけて、エリザベスとレディントンが描かれていきます。シーズン7の最後のアニメパートで、エリザベスが屋上に立って「私は母の味方をするつもりだし、何が何でも知りたいことを見つける」と言うシーンがありましたよね。そこからシーズン8に突入して、エリザベスはレディントンではなく母親カタリーナの側につきます。2〜4話のうちに、これがエリザベスとレディントンの間の最大の問題として立ちふさがることになります。想像もできないほど大きな障害となります。
その後、シーズン8では、レディントンとエリザベスが対立するようになるのですが、一体どうなるんでしょう?どちらが勝つのか?それともどこかで一緒になるのか?レディントンとエリザベスが決別しており、危機的な関係性に陥っているという、これまでにないシーズンとなります。視聴者のみなさんも、第2話をご覧になれば、そのことにすぐ気づくと思います。
──「ブラックリスト」はシーズン9まで続く、大人気シリーズです。この作品を企画された当初、こんなに長く続くと思っていましたか?どのくらいで完結する予定でしたか?
もちろん作品の成功は常に願っています。「ブラックリスト」はパイロット版の手応えもありましたし、これは成功するぞとは思っていました。でも、こんなに長く続くとは想像していませんでした。お話したように、レディントンの秘密の真相は初めから決まっていました。その真相はシーズン2で明かしてしまうつもりだったんですが、それをソニーさんに話したら、「そんなに早くに明かしちゃだめです。シーズン5まで待ってみましょう」と言われて。我々も「シーズン…5…?そんなに続かないでしょう……」と思ったものでした。こんなに続くなんて、考えもしなかったですよ。ここまで続くドラマもなかなかないと思いますしね。
ジョン・アイゼンドレイス
「ブラックリスト」シーズン1~現在まですべてのシーズンに関わる製作総指揮。
シカゴ出身で、ブラウン大学及びコロンビア大学でジャーナリズムの大学院を卒業。ジャーナリストとしてキャリアをスタートし、「新ビバリーヒルズ青春白書」「フェリシティの青春」「エイリアス」など数多くのTVシリーズで製作総指揮を務める。「ブラックリスト」のスピンオフ作品「ブラックリスト リデンプション」にも製作総指揮及びクリエーターとして参加。
4人の子供の父親で、現在ロサンゼルス在住。
スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメにて
「ブラックリスト」の最新シーズン「ブラックリスト シーズン8」が放送中!