(Photo/久保田司 Text/SCREEN編集部)
サマーフィルムにのって
公開中
高校3年生ハダシ(伊藤)は時代劇映画が大好きだが、所属する映画部で作るのはキラキラとした青春映画ばかり。自分の撮りたい時代劇がなかなか作れずくすぶっていたハダシの前に、武士役にぴったりの理想的な男子、凛太郎(金子)が現れる。幼なじみのビート板(河合)とブルーハワイ(祷)を巻き込み、個性豊かなスタッフを集めて映画制作に乗り出す。
監督:松本壮史
出演:伊藤万理華、金子大地、河合優実、祷キララ、板橋駿谷、甲田まひる、ゆうたろう 他
配給:ハピネットファントム・スタジオ
この3人の空気感ができあがってこそ、映画として完成する
――作品観させていただき、大好きな映画になりました!
3人 めっちゃ嬉しい!!
――3人の秘密基地でのやり取りがとても自然でした。みなさん、出会ってすぐに馴染めましたか?
河合 初対面の時、私は1人で朝ご飯を食べてて……。
伊藤 本読みの段階で、キララちゃんは柔らかく周りの方に接していたんですけど、他の2人が人見知り過ぎて(笑)。
祷 初日の本読みと、顔合わせの時のことですね。
伊藤 エキストラの方と他のキャストさんがいっぱいいる中で、私はキララちゃんと同じタイミングで楽屋から移動していたので一緒だったんです。でも、「あれ? 優実ちゃんいないね」って話していたら、エキストラの方に紛れて、いちばんすみっこにいたんです。いやいやいやって(笑)。私もそろそろキララちゃんを見習って、テンションあげていかなきゃって思っていたのに、優実ちゃんは、全然、馴染もうとしない(笑)。誰にも目につかない所にいたんです。
河合 あはは(笑)。私は人と仲良くなるのに時間がかかるタイプなんですけど、あの日は、いちばん最初に楽屋に入っちゃって、いちばん奥に行っちゃったんです。そしたらどんどん人が増えて、奥に押し寄せられてしまって(笑)。そこで、朝ご飯のおにぎり食べていたんです。
伊藤 一緒に食べようよ(笑)。
――2人がグイグイ来たんだ?
河合 来てくれて、感謝!って感じでした~。
祷 その後、本読みの時、ハダシ(伊藤)・ビート板(河合)・ブルーハワイ(祷)という役になったら、何だか一体感が出てきたんです。でも、終わるとまた「恥ずかしい……」って(笑)。
伊藤 でも、さすがに初日を迎えるとなったら「そろそろ……」って、このまま人見知りじゃダメだ!ってなりました。確か本読みの後とかにもカフェに行ったよね? でも、まだね……。
祷 まだ「伊藤万理華さん」って呼んでました、敬語で(笑)。
伊藤 お互いに敬語でしたけど、「役では同い年なんだし」って、優実ちゃんが最初に言ってくれたのが嬉しくて。それから、大丈夫になりました。
――そこからは撮影も楽しく?
祷 撮影に入るまでに、何回も会う機会があって。その時が人見知りとの闘いでした。役もあるからみんな仲良くなった方が絶対いいんですが……。
伊藤 監督の松本さんが、「この3人が固まっていて欲しい」という思いがあったから、秘密基地のリハも、3人で個別にリハをしたりしていました。この3人の空気感ができあがってこそ、映画として完成するというのがありました。だから、私もこの3人で、いい雰囲気でいたいなと思い、人見知りを克服してなるべく喋るようにしていました。
――あの秘密基地、いいよね。
祷 夢がありますよね!
伊藤 秘密基地に入って、みんなそれぞれが好きなものに囲まれて、やっと力が抜けて本来の自分たちになれるんだと思います。だから、3人にとって大事な場所なんです。
――自分が学生の頃に夢中になっていた「好きなもの」ってあります?
河合 こういう青春の思い出みたいな話で言えば、いちばんはダンスですね。ずっとダンスを習っていて、高校の部活も80人くらい部員がいるところに所属していました。みんなで一緒に、ひとつの曲を踊ったりとか、そういう体験に熱中していましたね。
祷 私は10代のブルーハワイぐらいの年齢の時は、自分の好きなものが全然わからなかったんです。中高時代を思い返すと好きなものに熱中している人を羨ましく思いますね。ただ、そんな私も18歳くらいの時に、この仕事をやりたいと思ったきっかけがあって、そこから初めて好きになれたのが表現のお仕事です。それからは、表現の参考にと、映画を観たり、本を読んだりしていました。派生して、今は、お笑いも好きです。東京に来てからラジオ好きが加速しちゃって、空気階段さんの『踊り場』とか、ランジャタイさんが好きで、ゲララジオとか、ポッドキャストで、過去回から全部聞いちゃったりして。本作の監督の松本さんが、空気階段のラジオTシャツをデザインされた方で、私の「好き」と「好き」がぶつかった感じです(笑)。映画の撮影中、私が誕生日を迎えた時に、そのTシャツをいただいて、この夏はめっちゃ着る予定です(笑)。
伊藤 私は4歳から乃木坂46に入る前まで、クラシックバレエをしていました。踊ることが好きでした。ほかに好きなことといえば、小学校の頃からお母さんのおさがりの服を着ていたんです。お母さんがファッション系のお仕事をしていたので、母の服が自分の趣味にぴったりで大好きでした。グループに入ってから、作り手側の人と対談する機会が増えて、自分の服の見方が変わってきました。これは誰が作っているの?とか、この素材はどこから生まれたの? など、考えるようになりました。
――プロ目線!
伊藤 プロ目線というか、好きになると掘っちゃうんです。それで、没頭してそっちに行っちゃうタイプなんです。
――そういう意味ではハダシと似てますね。
伊藤 そうですね。ハダシも熱中すると周りが見えなくなるので、そこは自分に近いなと思います(笑)。