Hair&Make up：秋鹿裕子（W）／Styling：伊藤信子
――古川さんは、おじいちゃんやおばあちゃんとの楽しい思い出ってありますか？
「祖父母が北海道にいるんで、あまり会えてないんですけど、おばあちゃんがすごく料理が上手なんですよ。小さい頃、母親が一度入院した夏休みにおばあちゃんちに兄とひと夏、預けられたんですが、食べたいものを何でも作ってくれたんです。夏休みが終わる頃、服のサイズが２サイズくらい変わるくらいに太って帰ってきました（笑）。その時に食べた八宝菜とかがすごくおいしかったんですよ。何度もおかわりしました。また食べたいですね～」
――古川さんって声が優しいので、他人を救ってくれる役柄が多いような印象です。実際は、周りの方にはどういうキャラクターだと言われますか？
「面白いねって言われます。なんでだか自分では分からないのですが……。後輩とか年下と仲がいいんですけど、『先輩って感じがしない』って言われます（笑）。面倒見がいいというより、誰とも平等に接する感じだからかなと、自己評価しています（笑）」
――『春』のキャストやスタッフのみなさんとはどう過ごしました？
「２日目の夜くらいに、ひもかわうどんをスタッフさんたちと一緒に食べに行きました。何を喋っていたのかは、さっぱり覚えてないんですけど（笑）」
――3日間なんてあっという間ですもんね。
「本当にずっと撮影でしたからね。花王（おさむ）さんが画面に映るとおじいちゃんなんですが、実際にお話しすると物凄くパワーのある若い方なんですよ。私にも『今の子はどういうのが好きなの？』とか気さくに話しかけてくださったりしました」
――映画の媒体なので、お約束的な質問なんですが、これまで影響を受けた映画ってありますか？
「どっちにしようかな……」
――二つでもいいですよ（笑）。
「小さい頃にいちばん最初にハマったのが『E.T.』ですね。E.T.とエリオットが描く、人間じゃないものと人間との友情に憧れたんです。小さかったので、本当にE.T.がいると思っていて、小学校の裏の森にワクワクしながら行ったりしていました（笑）。今も動物は好きなんですが、そういう言葉にならないコミュニケーションを大事にしているのは、もしかしたらE.T.のおかげかもしれません」
――古川さんが生まれるよりだいぶ前の映画ですよね。
「特別上映か何かで親が連れて行ってくれた、映画館で観た最初の映画なんですよ。もう一作は『ウィズ』っていうミュージカル映画です。マイケル・ジャクソンが好きだったんですが、お芝居をやられていることを初めて知った作品です。観てみたら、本当にマイケルが「かかしだ！」と思えました。彼は身体の動きがすごくなめらかで、かかしとしての動きが凄く上手なんですよ。物語の中で、かかしが歩けるようになった喜びとか、身体を使った表現がすごく伝わって感動しました。この作品を観た当時、演劇部だったので、私もマイケルみたいに自由に演じたいなと思いました」
――最後に短編映画『春』の見どころを教えてください。
「監督とおじいさんの思い出が詰まった物語です。きっと個人的な話なのですが、アミの将来に対する不安だったり、好きなものにどう向き合っていくか、折り合いをつけていくかの葛藤が、若い人やそれを経験した大人にも通じる作品だと思います。共感してもらえたり、ノスタルジックな気持ちになったりしてもらえれば嬉しいです」
古川琴音
1996年10月25日生まれ。神奈川県出身。主な出演作にドラマ｢エール｣、「この恋あたためますか」、「コントが始まる」、『十二人の死にたい子どもたち』、『街の上で』、『泣く子はいねぇが』、『花束みたいな恋をした』など。待機作に、映画『偶像と想像』など控えている。
『春』
認知症の祖父と二人暮らしをする美大生の1年間を描いた物語。3年間祖父と二人暮らしをし、美術大学を卒業し、現在CMなどのディレクターとして活躍する大森監督自身の経験を元に、祖父を介護する美大生・アミの心情を繊細に描いた短編。
監督・脚本：大森歩
出演：古川琴音、花王おさむ、加藤才紀子、西智子、伊勢田世山、松山茂雄
配給：アルミード
(c)AOI Pro.
