「真実を尊重する以外に選択肢はないと思ったんです」
今回解禁された本編映像は、スパイ容疑をかけられ東西冷戦下のソ連の劣悪な収容所に半年もの間監禁されているグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)が、愛妻シーラ(ジェシー・バックリー)と念願の面会を果たすシーン。
肉体的にも精神的にも虐待され、残飯にも劣る食事しか口にできない日々を経たウィンのシルエットはまるで髑髏。「大酒飲みで体の緩んだ中年男」と言われていた敏腕セールスマン時代の面影はゼロ。収容所で過ごした期間がいかに地獄の時間であったのかが一目瞭然となる衝撃的なシーンだ。
収容所の場面はシーン数としてはそこまで多くないものの、カンバーバッチはリアリティを追求するために頭を丸刈りにし、約10キロにも及ぶ体重の減量を実行。しかも本作の撮影から時間をおかずして、映画『ドクター・ストレンジ・イン・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』(2022年公開予定)の撮影のために、すぐに通常の体型に戻さなければいけなかったというのだから驚きだ。
自らを追い込んだ理由についてカンバーバッチは「映画ではたった数シーンにしかならないのにと思うでしょうが、当時のグレヴィル・ウィン氏の写真を見ると、彼が人生のはるかに長い期間、耐え忍んできた真実を尊重する以外に選択肢はないと思ったんです」と史実をベースにした作品ならではの使命感を口にする。
減量方法については「すべてが健康的な方法で行われました。萎縮や無気力ではなく、すべてを削ぎ落として体を筋肉で縮めようとしました」と適切なプロセスを経てのダイエットだったようだが「筋肉を削らなければならない状態の時もあり、それはとても嫌な経験でした。意識が混濁し、脱水症状を起こし、常に空腹を感じる。感情的にも肉体的にも非常に傷つきやすくなる」と苦難は避けられなかったことも語っている。
カンバーバッチは「10キロの減量へと至るすべてのプロセスが、収容所での日々を何年も何カ月も耐えてきたであろうグレヴィル・ウィンのキャラクター作りにおいて非常に役立ちました」とも語っている。ロバート・デ・ニーロ、クリスチャン・ベール、マット・デイモンなど、自らの肉体を変化させて名作や名シーンを生んできた俳優は少なくない。カンバーバッチも『クーリエ:最高機密の運び屋』を持って、その一人になるだろう。その瞬間をスクリーンで目撃してほしい。
『クーリエ:最高機密の運び屋』は全国公開中!
監督:ドミニク・クック
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー
2021年|イギリス・アメリカ合作|英語・ロシア語|
カラー|スコープサイズ|5.1ch|112分|原題:THECOURIER|G
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
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