フランシス・フォード・コッポラの孫で、ソフィア・コッポラの姪にあたるジア・コッポラ監督が、『パロアルト・ストーリー』に続く長編2作目となる『メインストリーム』を完成させた。
本作でストーリーを牽引する青年・リンクを演じるのはアンドリュー・ガーフィールド。YouTuber“ノーワン・スペシャル”として SNS 界のスターダムを駆け上がっていく男の狂気と暴走を見事に体現している。
今回ジア・コッポラ監督のSCREEN ONLINE単独リモートインタビューが実現。若者たちが自身のアイデンティティを問い、暴走してゆく姿を描いた本作について語ってもらった。
画像1: リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

「この映画が“自分がどのようにSNSと向き合っていくべきか”ということを考えるきっかけになったら嬉しいです」

ーースリリングな展開が面白かったのはもちろんですが、SNSで使う絵文字やスタンプが実写と合わさるという映像がとてもユニークで印象に残りました。映像を作る上で、監督が一番こだわったポイントを教えて頂けますか。

「SNSやメッセージアプリなどで絵文字が氾濫している現実を、どうやったら映画的に美しく見せられるかということを考えながら本作を作っていきました。撮影を進めながら色々と実験的に試すのは凄く楽しかったです。例えば、マヤ・ホーク演じるフランキーが吐くシーンではキラキラした絵文字やスタンプが口から溢れ出すのですが、これは以前からやりたいと思っていたことのひとつだったんです」

ーーそのシーン、個人的に大好きです(笑)。

「ありがとうございます(笑)。本作の準備期間中にインターネットについて色々と調べていたのですが、世の中には本当に多くのコンテンツが存在するので、それらに触れているうちにいっぱいいっぱいになって“もういや!”と爆発しそうになったりしたんです(笑)。その時の自分の心情を、フランキーが吐くシーンで表現してみたのですが、あの場面は彼女のとある感情のスイッチが入る瞬間でもあったので、やりたかったアイデアがうまくマッチして良かったと思いました。最近はインターネットと現実世界の境界線がどんどん曖昧になってきているので、それをどういう風に表現していくかを考えるのはとても面白かったですね」

画像1: ©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

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ーーアンドリューやマヤ、ジェイクを演じたナット・ウルフとご一緒してみていかがでしたか?

「私はキャストやスタッフなどクルー達と家族のような雰囲気を作って仕事をするのが好きで、『パロアルト・ストーリー』の特典映像をご覧になったことがあるかもしれませんが、前作も本作もキャストと一緒に生活を共にして関係性を作るようにしていたんです。アンドリューは一流スターですが、私やマヤと一緒に旅行に行ったり、リハーサルを何度も重ねたりしてくれました。一年ほどかけてアンドリュー、マヤと3人で本作について何度も話し合いをしましたし、ロンドンまで飛んで演技のコーチに色々と教えてもらいながら3人でアドリブを考えたりもしましたね。スタッフも含めて一緒に料理をしたりゲームで遊んだり、多くの時間を共有したことで、絆の強いチームとして撮影できたのは良かったです」

画像2: ©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

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ーーキャストと一緒に旅行まで行くというのはよくあることなのでしょうか?

「本作は制作準備に長い年月をかけていたので、時間にはかなり余裕がありました。なので、本作の共同脚本家であるトム・スチュアートとアンドリューと一緒に島へ行って内容の打ち合わせをしたり、LAで脚本を書いたり。観光目的ではなく、全て本作に必要な旅だったと言えますが、とにかく色んなところに行きました」

画像2: リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

ーーアンドリューとの関係性がしっかり作れていたからこそ、LAのハリウッド大通りでリンクが過激なことをするシーンが妥協なく撮れたのではないでしょうか。

「それはあるかもしれませんね(笑)。実はあのシーン、最初は大通りではなく人の少ない静かな場所で撮るつもりだったんです。だけど、それだとSNSでバズらなさそうな気がしましたし、リンクの悪戯っぽさが表現できないと思ったので“ハリウッド大通りでやるのはどうかな?”とアンドリューに提案してみたら、“それはいいね!やろうよ!”とノリノリで承諾してくれて。とてもホッとしました(笑)」

画像3: リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

ーー私は数年前に旅行でLAに行ったのですが、その時にハリウッド大通りも歩いたので、“あんな目立つ場所で凄いシーンを撮るなぁ”とビックリしたんです(笑)。

「確かにあそこはLAで有名なスポットなので、実際に訪れたことのある人は凄く驚くかもしれませんね(笑)。アンドリューは開放的な感じで色々とアドリブを交えながら演じてくれたのですが、それを見た通行人が“いま走っていたのはアンドリュー・ガーフィールド?”って驚いてました(笑)」

ーーエキストラではなく?

「エキストラも何人か混じっていますが、ほとんどが本物の通行人です(笑)。ちなみにジョニー・ノックスビルが出演するシーンも、YouTuberの“ノーワン・スペシャル”が番組の最後にどんな行動をするかキャスト全員に明かしてなかったので、あの場面は役者のみなさんのリアルな反応なんです」

画像3: ©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

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ーーそのシーンはドキドキというか、ヒヤヒヤさせられました(笑)。そして本編ラストのノーワン・スペシャルの顔は何か見てはいけないものを見てしまったような、もの凄く色んなことを想像させる表情でしたね。

「彼がステージ上で真実を語っているのかどうなのか、またラストの表情は全てを計算して作ったものなのか、単純に“いいね”が欲しいだけなのか、観た方それぞれ受け止め方や感じ方が違うのではないかなと思います。この映画が“自分がどのようにSNSと向き合っていくべきか”といったことを考えるきっかけになったら嬉しいです」

画像4: ©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

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ーーちなみに監督ご自身はSNSとどのように向き合ってらっしゃいますか?

「私は気楽に活用するようにしています。“いいね”の数を気にしすぎるのは精神的にもよくないので、“自分は何を表現したいのか”という考えを持って活用することが大切なのではないかなと。ただ、若い人達にそれを言っても難しいと思うので、なるべくなら楽しめる範囲でSNSを利用して欲しいですね」

ーー最後に、監督オススメのLAの映画館を教えていただけますか。

「自宅から徒歩圏内にあったハリウッドのアークライトという有名な映画館は、10代の頃はいつも通っていたので思い出が沢山詰まった場所なのですが、悲しいことにコロナの影響で閉館してしまいました。なので、いまはチャイニーズシアターで観ることが多いです。オススメなのはクエンティン・タランティーノ監督が所有しているニュー・ビバリー・シネマという映画館。LAには古い映画館が沢山あるのですが、中でもニュー・ビバリー・シネマは有名なので、いつか状況が落ち着いたら是非行ってみてくださいね」

画像4: リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

リモートインタビュー中のジア・コッポラ監督

インタビュアー・文/奥村百恵

<STORY>
夢と野心が交錯する街LAで、20 代のフランキーは映像作品を YouTube にアップしながら、さびれたコメディバーで生計を立てる日々に嫌気がさしていた。ある日、天才的な話術の持ち主・リンクと出会ったフランキーは、男友達で作家志望のジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作をスタートする。 自らを“ノーワン・スペシャル(ただの一般人)”と名乗り、破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は、かつてない再生数と「いいね」を記録。リンクは瞬く間に人気 YouTuber となり、3人はSNS界のスターダムを駆け上がっていくがーー。

『メインストリーム』
10月8日 (金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:ジア・コッポラ(『パロアルト・ストーリー』)
キャスト:アンドリュー・ガーフィールド マヤ・ホーク ナット・ウルフ
ジョニー・ノックスヴィル ジェイソン・シュワルツマン アレクサ・デミー コリーン・キャンプ
配給: ハピネットファントム・スタジオ
©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

画像: アンドリュー・ガーフィールドが超過激YouTubeに!?『メインストリーム』本予告|10.8公開 youtu.be

アンドリュー・ガーフィールドが超過激YouTubeに!?『メインストリーム』本予告|10.8公開

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