監督や俳優たちがこだわったプランやメソッド
シーン分析映像に参加するのは、ケヴィン・マクドナルド監督、ナンシー・ホランダー弁護士役のジョディ・フォスター、モハメドゥ・スラヒ役のタハール・ラヒムの3人。取り上げるのは、ナンシー・ホランダー弁護士がグアンタナモ収容所でモハメドゥ・スラヒと面会する重要シーンだ。
モハメドゥの無罪を信じていたナンシー弁護士は、何かを隠すかのように苦悩するモハメドゥに対して疑念を抱き、困惑と動揺の眼差しで感情を露わにする。一方のモハメドゥも「どうせ俺は死ぬ!」などと気持ちを高ぶらせて席から立ち上がり、ナンシー弁護士に襲い掛かりそうな勢い。まさに一触即発のひりついたスリリングな場面。
「鬼気迫るシーン」(ケビン・マクドナルド監督)
狭い面会室をイラついたように歩き回るモハメドゥの心情について、演じたタハールは「モハメドゥの転換点だ。彼は拷問された事実を知られることを恥じている」とその背景を解説。ケヴィン監督も「看守の聞く前で真実を話すことを恐れてもいる。鬼気迫るシーンだね」と太鼓判を押す。
「信じていた人に心の弱さを暴露された」(ジョディ・フォスター)
一方のジョディは、演じたナンシー弁護士の心境を「もちろん裏切られたと感じている。無罪である可能性があると考えていたからよ。何度も裏切られてきたから『やっぱりね!』とも思っている」と代弁。モハメドゥから「有罪だと思っているんだろ!?」と核心を突くような言葉を浴びせられた際には、演じながら「人が心を開き、再び閉ざす様子を見せつけられる。信じていた人に心の弱さを暴露された」と感じていたそうだ。
「あのシーンは二人とも演技プランなしで挑んだ」(タハール・ラヒム)
本作でジョディは第78回ゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞し、タハールは主演男優賞にノミネートされた。タハールにとっても面会シーンは特に印象深かったようで「あのシーンは二人とも演技プランなしで挑んだ。とても奇妙で不思議な時間だった。脚本通りに演じるのとは違う。感情のままに動いて、それに相手が反応する。その相手がジュディで本当に幸運だったよ」と感謝しきりだ。
本編鑑賞前に観ると物語への興味がそそられるし、鑑賞後に観るとトリビア的な驚きと再発見があるはず!
『モーリタニアン 黒塗りの記録』
10/29(金)公開
監督:ケヴィン・マクドナルド 配給:キノフィルムズ
出演:ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバ―バッチ、タハール・ラヒム、シャイリーン・ウッドリー、ザッカリー・リーヴァイ