「真実を伝えるために、限界を超えてこの役に挑んだ」
本作のモハメドゥ役でゴールデングローブ賞にノミネートされたタハールは、モデルとなったモハメドゥ氏本人との初対面時に受けた衝撃を回想する。
「特に知りたいと思うことが1つあった。それは彼がどうやって怒りを許しに変えたのかだ。彼は誰のことも恨んでいない。僕にはその心理がどうしても理解できなかった。モハメドゥはこう言ったよ。『人を許すことは自分へのご褒美だ』と」
ケヴィン・マクドナルド監督とは『第九軍団のワシ』(2012)以来のタッグ。「だからこの作品はまたとないチャンスだった。それに脚本も題材もすごく魅力的だったし、役柄がすばらしいと思った。僕は常にやりがいのある役を求めているんだ」と念願叶った様子。
しかし最大の決め手は「これが実話であり、モハメドゥが実在するという点だ。世界に伝えるべき作品だと思った」と使命感によるものだったことを明かす。
それだけに役作りも徹底して行ったという。「僕はアラビア語やモーリタニアの言葉を話せない。だからそれらの言語を学んで、ごく自然に話せるようになる必要があった。肉体的にも自分を追い込んだよ。できる限りモハメドゥと同じ状況に身を置いた。ケガをしないギリギリの範囲でね。リアルさを追求したかったし、真実を伝えるために自らの限界を超えてこの役に挑んだ」と熱演の舞台裏を明かす。
これらピックアップしたコメント以外にも、作品に込められたテーマや本作への意義などが語られる。コメントの一つ一つが『モーリタニアン 黒塗りの記録』を深く読み解くための手引書のような役割を果たしている。日本公開直前の予習として是非とも耳を傾けてほしい。
『モーリタニアン 黒塗りの記録』
10月29日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:ジョディ・フォスター、ベネディクト・カンバ―バッチ、タハール・ラヒム、シャイリーン・ウッドリー、ザッカリー・リーヴァイ
原作:モハメドゥ・ウルド・スラヒ「モーリタニアン 黒塗りの記録」(河出文庫)
2021年/イギリス/英語・アラビア語・フランス語/
129分/ドルビーデジタル/カラー/スコープ/5.1ch/
原題:THE MAURITANIAN/G/字幕翻訳:櫻田美樹
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
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