1877年にトーマス・エジソンがオーディオの原型となる錫箔蓄音機“フォノグラフ”を発明したのが1877年12月6日。日本オーディオ協会が日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会などとともに「音」の文化について多くの人々に認識を深めてもらうために1994年に制定した。『ブラックボックス:音声分析捜査』は「音」だけで真相を追求する作品だが、ミュージカル映画を除いても「音」が重要な要素を占める名作は近年においても多い。その中から特に愉しめる「音」映画を5つピックアップ!
『ブラックボックス:音声分析捜査』(21年、ヤン・ゴズラン監督)
ヨーロピアン航空の最新型機がアルプスで墜落し、乗客・乗務員316人全員の死亡が確認される。謎の疾走を遂げた上司に代わり責任者として調査をまとめるよう任命されたマシュー。被害者の一人が夫に残した事故直前の留守電を聴いて、ブラックボックスの音と違うことに愕然とする。キャリアと命をかけたマチューの危険な探求が始まる──。ピエール・ニネが「音」を聴くだけで、故障ならどの箇所か、事故なら何と接触したのか、事件なら犯人の人物像まで割り出すことができる天才音声分析官マチューを演じる。「音」だけで航空機業界の知られざる闇を暴く、全仏で大ヒットを記録した聴覚が暴走する体感型サスペンススリラー!
『THE GUILTY ギルティ』(18年、グスタフ・モーラー監督)
主人公が電話の声と音を通して誘拐事件の解決を図ろうとする異色サスペンス。第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞したデンマーク映画。緊急通報司令室のオペレーターが、今まさに誘拐されているという女性本人からの通報を受け、電話から聞こえるかすかな音だけを頼りに解決しようと試みる…。密室劇でBGMもほとんどない。「音」が解決の手掛かりになる極めて重要な映画。今年9月には主演をジェイク・ギレンホールが務め、アントワーン・フークアがメガホンを取ったリメイク版が作られ公開された。
『善き人のためのソナタ』(06年、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)
旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた秘密警察“シュタージ”。その組織の一員であるゲルト・ヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は芸術家の監視を命じられたが図らずも監視対象の考え方や生き方に影響を受け、新たな人生に目覚めてしまう…。当時長編第1作目となる33歳の新鋭フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが監督を務めた珠玉のヒューマン・ドラマ。監視という名の盗聴がポイント。耳からもたらされた「音」が主人公の心を激しく揺さぶる。第79回アカデミー®賞外国語映画賞受賞作品。
『ベイビー・ドライバー』(17年、エドガー・ライト監督)
天才的なドライビング・テクニックを買われ、ギャングのもとで“逃がし屋”として働く青年ベイビー(アンセル・エルゴート)の活躍を描く痛快クライム・カー・アクション。ベイビーが絶えず聴いているiPodの曲がBGMとなり、そのビートに合わせて全てのアクションが展開していく。監督は『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のエドガー・ライト。ジョン・スペンサーの「ベルボトムズ」やダムドの「ニート・ニート・ニート」など、劇中で使われたアゲアゲな「音」たちと爽快なドライブシーンのコラボに酔いしれることができる!
『クワイエット・プレイス』『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(18年、20年、ジョン・クラシンスキー監督)
音に反応し人間を襲う“何か”によって壊滅状態となった地球で、一切音を出さないように細心の注意を払いながら生活する一家を描いた緊迫感溢れるサスペンス・ホラー。1本目は低予算ながら全米で大ヒット。続編も週末興行収入ランキング初登場1位を飾るなどヒットを飛ばした。2本とも主演はエミリー・ブラント。「音」を立てれば即「死」につながるスリリングな内容で、登場人物が物音を立てたときは思わずこちらは息を呑む。シリーズ第三弾が23年3月に全米で公開される予定。
映画は映像見て、音を聴いて愉しむもの。今回は特に「音」で愉しめる映画5選、気になったものがあればぜひチェックを。
ブラックボックス:音声分析捜査
2022年1月21 日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:キノフィルムズ
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