――最初に台本を読まれたとき、この物語の何に魅力を感じましたか?
エイダン:映画の世界観かな。僕のお気に入りの映画、例えばジョン・ブアマン監督の『脱出』とか、『天国の日々』のような印象を受けたんだ。多くの映画は便利だからという理由で都市で撮影されるけど、僕の好みはそうじゃない。だから台本を読んですぐ(監督の)テイラー・シェリダンとそのことについて話したよ。どうするつもりなのかって。そうしたら、彼も僕と同じように思っていたんだ。都会では撮れない映画だって。自然に囲まれた場所で、強烈な状況や物語が語られる。そのことに魅了されたんだ。彼の過去の作品を観て分かっていたけど、彼は今のアメリカ映画業界・TV 業界で存在感を放っている、最も情熱溢れる人間の一人だよ。
ニコラス:エイダンの言う通りだと思う。テイラーのこれまでの作品を観ていたから、とにかくもう興奮したよ。もうひとつ僕が魅力的に感じたのは、生き抜くためにお互いを投げ出す、想像を超えた友情や関係性だった。それが、コメディでもアクションでも、あらゆるジャンルの映画で僕が魅力に感じる要素なんだ。悲劇に見舞われた少年が恐ろしい目にあって、生き抜こうとする中で新たな友情と結び付きを得る、そのことにとても心惹かれた。そして、エイダンと僕が演じた 2 人のキャラクターにもね。初めて演じるタイプの役だったし、彼を理解して発展させるのは楽しかったよ。もちろん、テイラーが創り出したキャラクターを理解するには彼が思う方向性を知るのが一番だから、彼と一緒にね。
――演じられた役柄について教えてください。ニックから、お願いできますか?
ニコラス:僕が演じたのはパトリックという役で、ジャックの弟分なんだ。僕たちはふたりとも雇われた暗殺者で、その道のプロだ。エリート中のエリート、と言ってもいいくらい。すごくミステリアスな役だよね、エイダン。
エイダン:その通り。
ニコラス:相当謎な二人組なんだ。常に全容は描かれず、そこが僕が台本で気に入っていた部分なんだけど、明らかにバックに巨大な力や金が動いているものの、決して正体は明かされない。それがストーリーに信憑性を与え、面白くしていると思う。決して全てが語られることはない。パトリックとジャックは、最初は極めて簡単な仕事だと思っていたはずなんだ。でも進むにつれ、より大きなチームを組まざるを得なくなり、コントロールが効かなくなる。でも彼らはプロだから、何とかしてやり遂げなければならないんだ。
エイダン:ニックが言った通り、僕らが誰のために働いているか、観客に確信できる瞬間は訪れない。そのニュアンスが面白いんだよ。観客は常に「彼らを雇ったのは誰なんだろう?」と考えながら物語を追う。分かっていることは、彼らが子供を追っていて、子供が捕まることは良いことではない、ということだけなんだ。深いところまでは知り得ない。過度に説明もされない。すごく気に入っているよ。とても感覚的なんだ。僕たちも誰のために働いているかは決して語らないしね。
――子供を追っている、と言われましたが、主要キャストは皆かなり身体的にきつかったのではないですか?そのために、何か準備はしましたか?
エイダン:僕は主に武器を扱うトレーニングをしたよ。以前も扱った経験はあったんだけど、この映画のやり方は違ったんだ。目に映る以上の訓練をして、どんな状況であれ、何を要求されたとしても応えられるように準備をした。僕らには良きアドバイザー兼トレーナーがいたしね。だから、自信をもって臨めたよ。僕に必要なものは、正に自信そのものだったから。演じる中で準備不足だと思われたくなかったし、ミスもしたくなかった。そうなったら最悪だからね。