2009年にユネスコの「世界記憶遺産」に登録され、「世界で最も読まれた10冊」のうちの1冊に挙げられた「アンネの日記」。これまで幾度となく映像、舞台化されてきたが、本作はアニメーションでしか表現し得ないアプローチで、アンネ・フランクの生涯を、彼女が生み出した“空想の友達”キティーの視点でたどっていく『アンネ・フランクと旅する日記』が3月11日より公開。
隠れ家での生活という閉ざされた日々の中で、イマジネーションをもって、どんな小さなことでもそれを最大限に楽しもうとしたアンネ。そんなアンネに対して父オットーは「お前の空想や美しい想像力は、どんな薬より効くはずだ」と優しく語りかける。ここで描かれる空想の世界は、巨悪であるナチスとの戦いがユーモアたっぷりに表現される。広大な世界で独りぼっちのアンネにナチスの巨兵軍が立ちはだかる中、勇敢な戦士たちがアンネのもとにゾロゾロと駆けつけ一騎打ち。その中には、『風と共に去りぬ』で一世を風靡した、名優クラーク・ゲーブルを彷彿とさせるキャラクターが、共に戦おうとアンネの手をとる場面も。また、アンネの部屋の壁には伝説的な女優である、マレーネ・ディートリッヒやグレタ・ガルボと見られるブロマイド写真が貼られている。
アンネの豊かな想像力に驚かされると同時に、推し活を楽しむ現代の私たちとなんら変わりのない、ひとりの普通の少女であったことも分かる映像となっている。
アンネ・フランクと旅する日記
3月11日(金)
原案:「アンネの日記」(ユネスコ「世界記憶遺産」2009年登録)
協力:アンネ・フランク基金
監督・脚本:アリ・フォルマン
声の出演:ルビー・ストークス/エミリー・キャリー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND