善と悪だけでは語れない複雑なキャラクター・モービウス。同役に挑んだジャレッド・レトのインタビューが到着。真摯に役に挑んだ彼の言葉に期待がさらに高まります。

マイケル・モービウス役/ジャレッド・レト

“気骨や反骨精神やダークな感じがすごく気に入っているんだ”

画像: マイケル・モービウス役/ジャレッド・レト

ジャレッド・レト プロフィール

1971年12月26日、アメリカ・ルイジアナ州出身。映画デビューは1995年の『キルトに綴る愛』。『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)でエイズ患者を演じ、アカデミー賞をはじめ数々の映画賞で助演男優賞を受賞。『リトル・シングス』(2021)でもゴールデングローブ賞などで最優秀助演男優賞にノミネートされており、変幻自在の演技が常に注目を集める。その他出演作に『ファイト・クラブ』(1999)、『スーサイド・スクワッド』(2016)、『ブレードランナー2049』(2017)など。ドキュメンタリー作品の監督など製作業にも進出しているほか、兄と始めたロックバンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ」でも活躍。

『モービウス』のクランクアップ後、当時49歳のレトは今回の役について次のように語った。

「マイケル・モービウスは、我が道を行く男なんだ。〝因習打破主義者〞だね。自分自身に賭け、規則を破り、その正しさを証明するような成功を収めてきた。より大きな使命を果たすためには、そうしたことを恐れずにやる男なんだ。」

『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)でヘロイン中毒の青年を演じ、『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)ではアカデミー助演男優賞を獲得。近作『ハウス・オブ・グッチ』(2021)では一見本人とは気づかないような特殊メイクを施しての怪演も印象に残るレト。数多の作品で大きな成功を収めてきた彼だが、モービウス役は新鮮な機会を与えてくれたという。

「これまで誰も演じたことのないキャラクターにスクリーン上で命を吹き込めるチャンスなんて、滅多にないから、好奇心をそそられたんだ」

今回彼が演じるのは、世界的な名声を誇るも、珍しい不治の血液疾患により徐々に死期が迫ってきている医師。自分の病気だけでなく、同じように苦しむ人々の病気を治せるのではないかと期待を抱き、禁断の実験に臨んでしまうという役どころだ。独特な状況に置かれたモービウスというキャラクターを演じるにあたり、レトはこれまで通り入念なリサーチを行ったという。

「できるだけのことはしたよ。架空の疾患ではあるけれど、自分にできる限り理解したいと思った。その大変さを理解しようと、珍しい血液疾患を克服した人たちや、本当に希少な病を患っている人たちに会って話を聞いた。固有の状況にあるキャラクターを正確に演じるために最善を尽くしたかったんだ。

誤解のないように言うと、これは、マイケル・モービウスと時間との闘いなんだ。自分自身だけではなく、他の人たちの命をも救うための闘いだ。そんな強烈な意志による追求が、物語を非常にパワフルな形で動かしていくんだ」

レトの役作りはキャラクターの内面理解だけにとどまらない。『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)では10㎏以上の減量に挑んだかと思えば、ジョン・レノンを暗殺した男を演じた『チャプター27』(2007)では体重を30㎏も増量するなど、肉体的なアプローチも強烈だ。今回、死期の迫った病人から強靭な超人へと変貌するモービウスを演じるためにも、そうした肉体面でのチャレンジがあった。

「いろいろな意味でフィジカルなチャレンジだった。精神的なチャレンジも確かにあったけれどね。だからこそ、僕にとって最高の役だったんだと思う。僕は身体的な変化にすごく興味があって、こういう作品でそうした経験ができることは滅多にないからね。

死に瀕している人間が、これ以上ないほど健康で強くなれるなんて、まったく予想もしないことだ」

今回の役を〝最高の役〞と語ったレト。最後にこう締めくくった。

「この世界のダークな部分を少し探究できたのがよかった。『モービウス』の気骨や反骨精神やダークな感じがすごく気に入っているんだ。すごくワクワクしているし、ようやくこういう映画を映画館で観てもらえることが本当に嬉しいよ」

レトが真摯に役と向き合い生まれた『モービウス』。満を持しての公開に期待は高まるばかりだ。

Photo by Rich Fury/Getty Images for LACMA

マイロ役/マット・スミス

画像: マイロ役/マット・スミス

マット・スミス プロフィール

1982年10月28日、イギリス出身。ドラマ「ドクター・フー」で人気を博す。近作に『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)など。「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚「House of the dragon」が待機中。

「マイロとモービウスは、映画の序盤では、兄弟のような関係にあるんだ。彼らは、致死的な病気を患って苦しんでいる。そんな状態では彼が望む生活を送ることは難しい。でも二人が変化を遂げた後、マイロはいろいろな意味で彼が欲していた生き方をするんだ」

マルティーヌ役/アドリア・アルホナ

アドリア・アルホナ プロフィール

1992年4月25日、プエルトリコ出身。ドラマ「グッド・オーメンズ」や、マイケル・ベイ監督のNetflix映画『6アンダーグラウンド』(2019)などに出演。「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ「Andor」が配信待機中。

「彼(モービウス)の変化については理解できないものの、マイケルの根底にあるものは善だとわかっているので、それが彼女の拠り所になるんです。彼女は彼を守ります。彼の仕業だと世間で言われているようなことを、本当に彼ができるとは彼女には思えないんです」

『モービウス』監督/ダニエル・エスピノーサ

画像: 『モービウス』監督/ダニエル・エスピノーサ

ダニエル・エスピノーサ監督 プロフィール

1977年3月23日、チリ生まれスウェーデン育ち。長編監督デビューは2004年。長編3作目『イージー・マネー』(2010・日本未公開)が大ヒット。他監督作に『デンジャラス・ラン』(2012)、『ライフ』(2017)などがある。

「この映画は、モービウスの世界の奥深さについて語るチャンスなんだ。彼の英雄的な行為は、エンパシー(感情移入)の現れだ。マイケル・モービウスは、マーベルユニバースの中で最も利他的なキャラクターの1人。彼には、利己主義的な動機が一つもないんだ」

Photo by Marilla Sicilia/Archivio Marilla Sicilia/Mondadori Portfolio via Getty Images, Photo by Jim Spellman/Getty Images

モービウス
2022年4月1日(金)公開

画像2: 「僕にとって最高の役」『モービウス』主演ジャレッド・レト&キャスト・監督インタビュー

アメリカ/2022/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:ジャレッド・レト、マット・スミス、アドリア・アルホナ、ジャレッド・ハリスほか
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