動乱の幕末。世界的視野とリーダーシップで坂本龍馬と並び称された“知られざる英雄”河井継之助。敵対していた西郷隆盛や勝海舟さえもその死を惜しんだとさえ言われる“最後のサムライ”の最後の一年を熱い人間ドラマとして描き切った本作。歴史小説の巨匠・司馬遼太郎による、累計発行部数398万部突破の大ベストセラー「峠」を、黒澤明作品に助監督として携わってきた小泉堯史監督が日本映画界屈指のキャスト・スタッフとともにスクリーンに焼き付けた。日本を代表する歴史小説家、日本映画界屈指のベテラン監督、国内最高峰の俳優陣が三つ巴となって作り上げた歴史超大作だ。
主演の“最後のサムライ”河井継之助を演じるのは、日本映画界を代表する俳優・役所広司。さらに、松たか子、香川京子、田中泯、永山絢斗、芳根京子、坂東龍汰、榎木孝明、渡辺大、東出昌大、佐々木蔵之介、井川比佐志、山本學、吉岡秀隆、仲代達矢ら錚々たる豪華俳優陣が一挙集結した。
司馬遼太郎は「私はこの『峠』において、侍とはなにかということを考えてみたかった。その典型を越後長岡藩の非門閥家老河井継之助にもとめたことは、書き終えてからもまちがっていなかったとひそかに自負している」と原作のあとがきで語っており、河井継之助に魅せられたという。
そんな司馬の原作に小泉監督が出会ったのは、小説連載中の1960年代後半。およそ50年以上にもわたり映画化したいと野望を燃やしていたという。
小泉監督が映画の題材を選ぶ基準は、「その物語の登場人物に会ってみたいかどうか」。脚本の執筆では「どの作品でも、できるだけ原作に寄り添い、その時代の人と共に生きたい、という思いを強く持って執筆しています。司馬さんが描きたかったことを外さないように、司馬さんが掴まえようと思った河井継之助という人物を、言葉を大切に彫りこんで明確にしていく作業になりました」と明かした。
完成した映画について「『峠』でサムライとは何かを考えてみたかった司馬さんが、書き終えて『その典型を河井継之助にもとめたことはまちがっていなかった』とおっしゃるわけですから、継之助はサムライのなかのサムライであり、本物のサムライを描きたいと思えばこの人を描けばいいのだろうと思っていました。サムライとして尊厳と誇りを持って美しく生きようと望んだ、そういう人物がきちんと掴まえられていれば、自分としては成功かなと思います」と自信を覗かせた。
さらに、河井継之助を演じた役所広司も「河井継之助さんの未来を見据えた毅然とした態度から出る決断力は、リーダーとして理想的だと思った」とそのキャラクターに惚れこんでいる様子。
動乱の世にこそ、未来を見据えた魅力的なリーダーが求められる。司馬遼太郎、小泉堯史監督、役所広司。時代を代表する男たちが惚れ込んだ河井継之助。逆風の中、和平独立に挑んだ彼の生きざまは現代に生きる我々の心にも深く突き刺さるに違いない。
映画『峠 最後のサムライ』は、6月17日(金)より全国公開。
峠 最後のサムライ
6月17日(金)全国ロードショー
配給:松竹、アスミック・エース
©2020「峠 最後のサムライ」製作委員会