INTRODUCTION
第74回カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクション「カンヌ・プルミエール」部門への選出をはじめ、世界の映画祭で絶賛。国内では細田作品史上最高の興行収入66億円の大ヒットとなった『竜とそばかすの姫』( 21)。『未来のミライ』( 18)以来、3年ぶりの新作の日本公開日と重なったカンヌでの公式上映には細田監督も立ち会った。
上映後は10分以上のスタンディングオベーションとなり、会場は拍手と歓声と感動に包まれた。日本公開の約半年後、『BELLE』の英題で全米公開されると週末興収全米7位の好成績を残す。また、世界の187人の批評家・ジャーナリストの投票による2021年の映画ベスト50で42位に。さらにアニメ界のアカデミー賞、第49回アニー賞最優秀長編インディ映画にもノミネートされた。
全米では約1300館で上映され、米主要メディアの評判も上々。国内外問わず高い評価を得ると同時に数字的にも結果を残した。例年より少ないとはいえ、イギリス、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ、アメリカと、監督、スタッフが現地に足を運び海外の批評家や観客の声も直に聞く機会に恵まれた本作は、今後も世界各地での公開を予定している。
プロデューサー陣が語る
『竜とそばかすの姫』の反響
── 日本公開日前日にカンヌで公式上映という異例の初日を迎えた本作。海外、そして国内の反響はいかがでしたか?
齋藤「日本の興行を前にカンヌでプレミアという中、監督不在の初日舞台挨拶を見守ってくれたのはターニャ(谷生)です」
谷生「最初こそ公開初日に監督不在なんて、と思いましたが、宣伝におけるポジティブな成果を必ずもたらしてくれる確信を持っていました。この巡り合わせも、スタジオ地図が積み重ねてきた海外での実績、信頼があってこそ。カンヌがくれた贈りものと捉え、感慨と興奮に包まれながら中継を見守りました」
齋藤「さすが、綺麗にまとめるね(笑)。コロナ禍の影響で、僕が足を運べたのはイギリス、スペイン、イタリア、アメリカ、フランスでした。例年に比べて現地に行く機会は少なかったですが、その代わりにピクサーやディズニーなどいろいろなスタジオとウェビナーをやったりもしました。いまだに各国から取材依頼も来ますし、フォーラムも開催しています。今回はミュージカルだったので、歌の吹き替えをしたことも初めての試みです。多分、歌まで吹き替えをした日本作品はほぼ例がないはず。各国の配給、音楽会社、役者の方たちと日本の音楽チームも一緒になってローカライズしているので、実は今でも動いていることはたくさんあります」
谷生「私はフランス、ドイツ、スペインに行きました。印象に残っている反応はどの国でも笑いが起きていた、カミシンとルカちゃんが駅で鉢合わせするシーン。カンヌでもかなり笑いが起きていたそうです。細田監督がかなりこだわっていたシーンなので、現地の反響には感激しました。アメリカではどうでした?」
齋藤「あのシーンについては“新しい映画表現ですね!”と詰め寄ってくる評論家やジャーナリストが多くいました。監督ががんばったシーンだけど、そんなに力説するほどかなと、冷静になる自分もいて(笑)。細田監督もちょっと驚いていましたね」
── 新しい映画表現とは具体的にどういうことでしょうか?
齋藤「長尺で人間の心情のやりとり、キャッチボールのようなものをある種コミカル
に描きつつ、繊細に表現している。結構大胆なカットなんです」
谷生「ワンカメでね」
── カミシン役の染谷将太さんが「僕の出演シーンは笑えるところ。今回はそういう役回りです」とおっしゃっていたので、制作側の思惑通りの反応だったということですね。
谷生「日本でもきっと笑いは起きていたはずですが、映画館で声を出して笑うことはなかなかしないと思うので、海外と日本の反応の違いで真っ先に浮かぶシーンです」
── 国内外でヒットした要因はどこにあると思いますか?
齋藤「世界中がエンターテインメントを、笑いやある種の共通体験を映画に求めていると感じました。コロナ禍でなかなか難しい、手をつないでともに生きていくみたいなことが、世界の片隅に生きる少女からインターネットの世界で歌姫になり、自己と世界を肯定していくすずの成長物語を通して、みなさんの心に響いたのかなと感じています」
谷生「今の時代、確立するのが難しい自己肯定をテーマとして強く感じられる作品になっていること、共感対象が多いので自分ごととしてキャラクターに自己投影できることも、国内外問わずそして幅広い年齢層に届いた理由だと思います」
── 本作がまだまだ広がりを見せる中、次回作への期待もせずにはいられません。
齋藤「まだ、何も決まっていないんです。引き続き、子どもや若者に対して生きるに値する世界だという価値を提示できる作品を作りたいです。細田監督は常にチャレンジャーなので、きっと次もおもしろいことをやってくれるはずです」
谷生「細田監督の得意技を全部詰め込んだ集大成的作品と表現してきた本作は、超大作になったと思うと同時に、もっともっと上にいけるという確信を持っています。どこまですごい領域に辿り着くのか、楽しみでしかないです!」
齋藤優一郎(右)
スタジオ地図 代表取締役プロデューサー。2011年に細田守監督と共に「スタジオ地図」を設立。マッドハウス所属時に手掛けた『時をかける少女』(06)以降すべての細田監督作品をプロデュース。米国映画アカデミー会員。
谷生俊美(左)
日本テレビ グローバルビジネス局 映画事業部主任 プロデューサー。2012年から「金曜ロードSHOW!」プロデューサーを務め、2018年より現在の部署に異動。『竜とそばかすの姫』が初映画プロデュース作品となる。
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スペシャル・エディション(UHD&BD)
価格:¥9,680(税込)
映像特典:Making of 竜とそばかすの姫、アフレコ舞台裏、イベント映像集、キャストインタビュー集、細田守監督インタビュー、スペシャル対談(中村佳穂× 佐藤健/中村佳穂 × 幾田りら)、スペシャル座談会(細田守 × 中村佳穂 × 常田大希)、公開記念インタビュー、佐藤健が語る映画の魅力、プロモーション映像集、タイアップ映像集
封入特典: スペシャルブックレット(劇場パンフレット縮刷+新規ページ追加)
スタンダード・エディション(BD/DVD)
BD:¥5,280(税込)/DVD:¥4,180(税込)
封入特典:劇場パンフレット縮刷版ブックレット
発売・販売元:株式会社バップ
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