杉山すぴ豊
アメキャラ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
リドラーが街を恐怖で覆うあの日。
実は日付にも大きな秘密が!
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』がすでにデジタル配信で自宅でも楽しめるようになっています。お家でじっくり楽しみたいという方のためにいくつかマニアックなトリビアを。
リドラーが街に爆弾を仕掛け洪水を起こす日付は11月5日となっていますが、この日はイギリスでガイ・フォークス・ナイトとして知られる日。1605年のイギリスで実際にあった火薬を使った政府転覆未遂事件に由来し、ガイ・フォークスはこの事件に関わったとして処刑された男の名。その後、彼の顔を模した仮面“ガイ・フォークス・マスク”が作られるようになります。
ナタリー・ポートマンが出演した、グラフィック・ノベル原作の映画『V フォー・ヴェンデッタ』(2005)でテロリストのVが被っていたのがこのガイ・フォークス・マスクです。そう、リドラーはまさに爆薬で体制の転覆をはかるガイ・フォークスの再現だったわけですね。
ロブ様が初めて着たバットスーツは?
そしてゾーイはアメコミ映画の常連
『ザ・バットマン』のマット・リーヴス監督は、クリスファー・ノーラン監督との差別化を意識してか、『ダークナイト』3部作以前のバットマン映画からの引用が多い気がしました。そもそもペンギンとキャットウーマンは『バットマン リターンズ』(1992)に登場、リドラーは『バットマン フォーエヴァー』(1995)のメイン・ヴィランの一人。『ザ・バットマン』の最後の戦いでバットマンは水の中に落ちます。歴代バットマン映画の中でバットスーツを着たまま水中に入るのは『バットマン フォーエヴァー』以来なのです。
またロバート・パティンソンがスクリーン・テストをする際、試しに着てみたのは『バットマン フォーエヴァー』のヴァル・キルマー版のバットスーツだったそうです。ここにも縁を感じますね。
『ザ・バットマン』ではゾーイ・クラヴィッツ演じるセリーナ・カイル(後のキャットウーマン)も魅力的でしたが、このゾーイ、アメコミ映画に結構出ています。
まず『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)で背中に羽のあるミュータント、エンジェル役。アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)でMJの声を、さらに『レゴ®バットマン ザ・ムービー』(2017)でキャットウーマンの声を演じているんですね。
またゾーイはアフリカ系アメリカ人女優ですが、TVドラマ版「バットマン」ではアーサー・キット、『キャットウーマン』(2004)ではハル・ベリーがキャットウーマンを演じており、実は歴代キャットウーマン女優には黒人の女優さんが多いのです。
監督&主演続投で続編も決定!
SPUMCも新作を発表
さてこの『ザ・バットマン』ですが、4月下旬にラスベガスで開催された米映画興行主向けのイベント「CinemaCon(シネマコン)」にて続編の製作が正式に発表されました。監督マット・リーヴス×主演ロバート・パティンソンは続投。詳細・公開日はまだわかりませんがティム・バートンの『バットマン リターンズ』(1992)、クリストファー・ノーランの『ダークナイト』(2008)等、バットマン映画は2作目に傑作が多いのでこれは期待大です。
気になるヴィランですが、確かに『ザ・バットマン』の最後にバリー・コーガン演じる“ジョーカー”らしきキャラが登場するとはいえ、さすがにジョーカーは出すぎかな。マット・リーヴス監督のことですから次は『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)に登場したMr.フリーズ(この時はシュワちゃんが演じていました)あたりを持ってくるのではないかと。
この「シネマコン」では他にもアメコミ映画ファンにとって注目する発表が多く、ソニーピクチャーズは『ヴェノム』の第3弾(トム・ハーディ続投!)、そしてスパイダーマンのコミックに登場する超能力プロレスラーを主人公にした『エル・ムエルト(原題)』(演じるのは人気ラッパーのバッド・バニー)を製作するとアナウンス。これらに加え、2023年1月13日にはアーロン・テイラー=ジョンソン主演の『クレイヴン・ザ・ハンター(原題)』、7月7日にはダコタ・ジョンソン主演の『マダム・ウェブ(原題)』が全米公開。SPUMC(ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクターズ)はどんどん広がっていきますね。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』プレミア配信中
ダウンロード販売中
2022年7月6日 デジタルレンタル開始/4K UHD、ブルーレイ&DVDリリース
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
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※本作には水害のシーンが一部含まれております。