1950年代後半に映画界に登場し、瞬く間にフランスのみならず世界の映画史を塗り替えたフランソワ・トリュフォー。時代を問わず愛されるトリュフォー作品の魅力を、生誕90年を記念して開催される特集上映「フランソワ・トリュフォーの冒険」の楽しみ方とともにお届けします。(文・井上健一/デジタル編集・スクリーン編集部)

生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険

2022年6月24日(金)~ 7月14日(木)東京・角川シネマ有楽町、名古屋・伏見ミリオン座
7月1日(金)~大阪テアトル梅田にて開催他、全国順次公開予定

画像: 生誕90周年! 今こそ見たい フランソワ・トリュフォーの魅力/特集上映作品一覧

提供・配給:KADOKAWA ※劇場によって上映作品の変更の可能性あり

続いて…全12作を100字で知る!
「フランソワ・トリュフォーの冒険」上映作品一覧

デジタルリマスター版 『あこがれ(短編)』(1957)

画像: ©DR MK2
©DR MK2

25歳のトリュフォーが、大人の女性に対する少年たちの憧れを綴った短編。生き生きとした子どもたちの姿や女優の魅力を引き出した演出など、長編デビュー前ながら持ち味が存分に発揮されている。トリュフォー曰く「真の初監督作」。

4Kデジタルリマスター版 『大人は判ってくれない』(1959)

画像1: © MK2
© MK2

家庭にも学校にも居場所のない少年アントワーヌ・ドワネルの日常を繊細なタッチで綴った長編デビュー作。自身の子ども時代を下敷きにした自伝的な物語だが、時代は撮影当時に置き換えられた。ジャンヌ・モローが1シーンのみ出演。

4Kデジタルリマスター版 『アントワーヌとコレット〈二十歳の恋〉より(短編)』(1962)

画像2: © MK2
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思春期を迎えたアントワーヌ・ドワネルが、女学生コレットに思いを寄せる初恋を描いた短編。オムニバス映画『二十歳の恋』(1962)の1話として製作された。台本は簡単なメモ程度で、細部を現場で膨らませる即興撮影が行われている。

デジタルリマスター版 『突然炎のごとく』(1962)

画像: ©LES FILMS DU CARROSSE - SEDIF
©LES FILMS DU CARROSSE - SEDIF

親友同士の青年ジュールとジムが、奔放な女性カトリーヌを巡って奇妙な三角関係を繰り広げる。本作の脚本を気に入って出演したカトリーヌ役のジャンヌ・モローは劇中、即興で自らの歌声を披露している。

4Kデジタルリマスター版 『夜霧の恋人たち』(1968)

画像3: © MK2
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兵役を終えて働き始めたアントワーヌ・ドワネルが、恋人クリスティーヌと美貌の人妻との間で恋に悩む。“ドワネルもの”第3弾だが、本作以降コメディ要素が濃厚に。デルフィーヌ・セイリグとクロード・ジャド、2人の女優が光る。

デジタルリマスター版 『野性の少年』(1969)

画像1: ©Pierre Zucca
©Pierre Zucca

森の奥で発見された野生児を保護した医師が、人間性を取り戻させようと尽力する。“アヴェロンの野生児”の実話を映画化。トリュフォー自身が医師を演じることで、野生児役に抜擢されたロマの少年から迫真の演技を引き出した。

4Kデジタルリマスター版 『家庭』(1970)

画像4: © MK2
© MK2

クリスティーヌと結婚し、息子も生まれたアントワーヌ・ドワネル。だが、日本人女性と浮気してしまい…。家庭を持ったアントワーヌが相変わらず恋に悩む。フランスの喜劇王ジャック・タチの人気キャラクター、ユロ氏もちらっと登場。

デジタルリマスター版 『恋のエチュード』(1971)

画像2: ©Pierre Zucca
©Pierre Zucca

『突然炎のごとく』(1962)の原作者アンリ=ピエール・ロシェの小説を映画化。フランス人男性と英国人姉妹が繰り広げる三角関係。ジャン=ピエール・レオが“ドワネルもの”とは異なる表情を見せる。日本初公開時は106分の短縮版。

デジタルリマスター版 『私のように美しい娘』(1972)

画像3: ©Pierre Zucca
©Pierre Zucca

前作『恋のエチュード』(1971)とは対照的な痛快犯罪コメディ。ベルナデット・ラフォン演じる奔放な女カミーユが、男たちを手玉に取りながら逞しく生き抜く。トリュフォーは「自分が女だったらカミーユに似ていただろう」と語っている。

デジタルリマスター版 『アデルの恋の物語』(1975)

画像: ©Bernard Prim
©Bernard Prim

「レ・ミゼラブル」の作者ヴィクトル・ユーゴーの娘アデルが、一人の男性を思い続けた末に自滅していく壮絶な愛の実話。新人イザベル・アジャーニにほれ込んだトリュフォーが、彼女に合わせて脚本を書き直し、6年越しの企画を実現。

4Kデジタルリマスター版 『逃げ去る恋』(1979)

画像5: © MK2
© MK2

中年を迎えて妻クリスティーヌとの離婚問題に直面したアントワーヌ・ドワネルが、過去の恋愛を振り返る。『大人は判ってくれない』(1959)から20年、“ドワネルもの”最終作となる第5弾で、過去作の映像を引用するなど名場面集的な趣も。

デジタルリマスター版 『終電車』(1980)

画像: ©Jean-Pierre Fizet
©Jean-Pierre Fizet

第二次世界大戦中、ドイツ占領下のパリで、ユダヤ人で演出家の夫を地下室に匿いながら座長として公演を続ける女優たち劇団関係者の人間模様。自伝的要素の強いトリュフォーの映画の中で唯一、戦時中の記憶が投影された作品。

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