公開初日トークイベントも開催!
監督のヴァレンチン・ヴァシャノヴィチは、ウクライナ映画史上屈指の傑作との評価を得た『ザ・トライブ』(14)に製作・撮影・撮影で参加するなど、ウクライナを代表する映画人として高く評価されている。『アトランティス』は2019年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞、2019年東京国際映画祭審査委員特別賞をそれぞれ受賞し、2020年の米アカデミー賞長編国際映画賞ウクライナ代表に選ばれ、『リフレクション』は2021年ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出されるなど、いずれの作品も世界的な注目を集め、高く評価されながら、これまで日本では劇場公開されなかった。
今年3月、この2作品の上映およびウクライナ映画人支援のための寄付を集めるクラウドファンディングが「ウクライナ映画人支援上映 有志の会」により行われ、目標額を上回る5,994,500円を集め、3月29〜31日の3日間、東京・渋谷のユーロスペースとユーロライブにて上映された。上映後の満足度も高かったものの、限定上映ゆえに鑑賞を希望しながらも叶わなかったという声も多く、このたび満を持しての劇場公開となる。
ドキュメンタリー出身のヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督は、現在キーウ(キエフ)にて戦禍のウクライナを撮影しているという。そんな緊迫した状況にありながら、このたびヴァシャノヴィチ監督から日本の観客の皆様へ向けたメッセージ映像が到着した。
「ニュースで伝えられない人々や出来事に焦点を当て」た彼の作品は、「パーソナルで小さな物語かと思われるかもしれません。しかし何千もの個人の物語がウクライナの国民性を作り上げています。それはロシアの侵略やその爪痕や悪影響に対する、何百年もの抵抗により形成されました」と、長きにわたりウクライナがロシアの脅威にさらされてきたこと、そして、その脅威は国民性にも影響を及ぼしていると監督は語る。
さらに、「こうして話している間も何万もの英雄たちが、自由と民主主義のために命をかけて戦っています。皆さんがこの映画を観ることで我々は勝利に少し近づきます。ウクライナの視点を知ってくださるほど、ロシアのプロパガンダと戦意は弱体化していくのです」と、観客へ真摯に語りかけている。
なお、ロシアとの戦争終結後PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える元兵士が主人公である『アトランティス』で主演を務めたアンドリー・ルィマルークは実際に元兵士で、ヴァシャノヴィチ監督の抜擢により『アトランティス』で初めて映画に出演し、いきなり主演でデビューを飾ったという経歴を持つが、彼もまた、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったため再び兵士として前線で戦っているという。そして『アトランティス』『リフレクション』のプロデューサーであるウォロディミル・ヤツェンコもまた、現在ウクライナ軍の兵士として戦っているとのこと。
【ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督メッセージ全文】
ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチです。今からご覧いただく『リフレクション』の監督です。この映画に時間を割いてもらえ、うれしく光栄に思います。2014年から始まり現在も続いている、私の母国ウクライナに対するロシアの戦争がテーマです。ニュースで伝えられない人々や出来事に焦点を当てています。パーソナルで小さな物語かと思われるかもしれません。しかし何千もの個人の物語がウクライナの国民性を作り上げています。それはロシアの侵略やその爪痕や悪影響に対する、何百年もの抵抗により形成されました。こうして話している間も何万もの英雄たちが、自由と民主主義のために命をかけて戦っています。皆さんがこの映画を観ることで我々は勝利に少し近づきます。ウクライナの視点を知ってくださるほど、ロシアのプロパガンダと戦意は弱体化していくのです。ウクライナのキーウより感謝と敬意をこめて。では、ご覧ください。
公開初日6月25日(土)トークイベント開催決定!
公開初日12:50〜の『アトランティス』上映終了後に梶山祐治氏(筑波大学UIA)によるトークイベントを開催することが決定した。
【トークイベント概要】
■日時 :6月25日(土) 12:50〜『アトランティス』上映終了後
■会場 :シアター・イメージフォーラム
■登壇 :梶山祐治(筑波大学UIA)