2020年3月、世界的パンデミック禍、バレエの殿堂パリ・オペラ座も静寂が支配していた。1日6~10時間踊っていたダンサーたちにとって、日常から突如切り離された日々は、過酷な試練であった。2020年6月、3か月の自宅待機を経てクラスレッスンが再開。最高位のエトワールたちが、かつてない状況下、 “オペラ座の宝”といわれる演目、ヌレエフ振付の超大作「ラ・バヤデール」の年末公演に向け稽古を重ねていく。しかし、再びの感染拡大に伴い、開幕目前に無観客公演となり、初日が千秋楽となる幻の公演となってしまうー。カメラはダンサーたちの心境に寄り添いながら、本番までの特別なシーズンを捉えていく。こうして、芸術の殿堂パリ・オペラ座の新たなる歴史の幕が上がる。これまで見たことのない、パリ・オペラ座の日々を追った情熱のドキュメンタリー映画がいよいよ公開となる。
パリ・オペラ座に特別に許可を受け、パンデミック禍の閉鎖からの復活の日々を撮影した貴重な映像が数々収められた本作。マスクを着けたダンサーたちのレッスン、最高峰のエトワールたちの長い休みからの再開のレッスン、そして、新たな公演(シーズン)に向けレッスンを重ねていく日々。バレエダンサーたちの不安、葛藤、期待といった心境に寄り添いながら、ダンサーと振付師が協力し合い、ひとつの舞台を作り上げていく姿を追っていく。
この度解禁された本編映像では、コロナ禍のため3か月の中断を経て、ダンサー達が劇場に復帰する様子が切り取られている。「元気?」と、久しぶりの再会で嬉しそうに仲間と挨拶やハグを交わすダンサーたち。そして3か月振りのレッスンを前に、入念にストレッチを行う姿が映し出され、「ある日突然、自分の一部が失われた。踊れないのはアイデンティティーを失うことだ。ダンスは感情を表現するツールで、僕を幸せにしてくれるはずなのに、僕の中に感情が封じ込められてしまった」「劇場が閉鎖されて、どう自己表現すべきか悩んだ。通常なら週1~2回は舞台で踊ってエネルギーを発散できるが、家に閉じ込められて身の置き所がなかった」と、自宅待機中に感じたダンサー達の苦悩の声が重なる。再開されたレッスンでは、ゆっくりとウォームアップから始められ、バーを使って徐々に身体を慣らしていく様子が映される。
3か月もの空白の期間を過ごした彼らが挑む復活の演目は、超高難度のヌレエフ版「ラ・バヤデール」。しかしコロナ禍で劇場が再閉鎖となり、一度限りの無観客公演が決定する―。前代未聞のシーズンに挑んだパリ・オペラ座のダンサー、スタッフたちの葛藤する姿を映し出した本作『新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり』は8月19日(金)より全国ロードショー。
新章パリ・オペラ座 特別なシーズンの始まり
8月19日(金)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開
配給:ギャガ
© Ex Nihilo – Opéra national de Paris – Fondation Rudolf Noureev – 2021