2003年の冬。アメリカから台湾に帰郷した13歳の少女と家族の物語。
母と妹とロサンゼルスで暮らしていた13歳のファンイー。母が乳がんを患ったため、3人で父が暮らす台北に戻り、久々に家族4人で暮らすことになった。台北の中学校では「アメリカン・ガール」と呼ばれ、学校生活には馴染めない。ある日、教師から勧められたスピーチコンテストで、母への正直な想いを伝えようとするが、その前日に妹がSARS感染の疑いで家族全員が隔離され、想いを伝えられなくなってしまう・・・。
『アメリカから来た少女』は、第58回金馬奨で、主演女優賞にカリーナ・ラムとケイトリン・ファンが揃ってノミネートされ、最優秀新人監督賞、観客賞を含め5部門受賞の他、台湾国内の映画祭で数々の受賞に輝き2021年の台湾映画界で話題をさらった。
SARSウィルスが猛威をふるった2003年、台北を舞台に、乳がんになった母をもつ少女の心の軌跡を描く、注目の新星ロアン・フォンイー監督による半自伝的映画。
演技経験はなかったにも関わらず、バイリンガルの少女を探す本作のキャスト募集のオーディションで主人公に大抜擢されたケイトリン・ファンのみずみずしい演技が大絶賛され、金馬奨と台北映画祭のいずれも最優秀新人賞を受賞。
病への恐れと母としての強さを見事に体現した母親役に、香港映画・台湾映画で活躍してきた歌手で女優のカリーナ・ラム(『男人四十』『百日告別』)、病気の妻と娘たちを気遣いながらも生活のため仕事に多忙な父親役に、台湾の映画とドラマで活躍するカイザー・チュアンという実力派を配して、幼い娘役二人を支えている。
『百日告別』『夕霧花園』で知られる台湾恋愛映画の名手トム・リン監督が製作総指揮を務めている。
<ロアン・フォンイー監督のコメント>
『アメリカから来た少女』は、私の少女時代である2003年の重要なエピソードに基づいた半自伝的な物語です。私が7歳の時、母は私と妹を連れてアメリカに渡りました。父は仕事のために台湾に残りました。私たちがアメリカでの生活を始めてやっと5年が過ぎた頃の2003年、母の乳がんが発覚し、私たちは台湾に戻りました。私は、母親がいなくなることをいつも恐れながら、少女時代を過ごしていました。それなのに、私は、心の底にある母を失うことへの恐怖を10代の怒りの感情で紛らわせ、母が亡くなったときに自分が受けるであろう心の傷が軽くなるようにと、母を自分の最大の敵として位置付けたのです。本作品では、台湾に戻った10代の少女の葛藤の物語として、彼女の家族のポスト・アメリカン・ドリームがどのように崩壊したか、そして彼女らがそれにどう折り合いをつけたのかにも触れています。
『アメリカから来た少女』は、人は成長することでどれほど傷つくのか、家庭というものがいかに移り変わるのか、そして、傷ついた2人の人間が人生の中でいかに互いを傷つけ合い、癒し合うのかを描いています。
監督・脚本:ロアン・フォンイー 製作総指揮:トム・リン 撮影:ヨルゴス・バルサミス
出演:カリーナ・ラム/カイザー・チュアン/ケイトリン・ファン/オードリー・リン
2021年|台湾|北京語・英語|101分
配給:A PEOPLE CINEMA
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